平成22年度施政方針

平成22年度施政方針

1.はじめに

平成22年度予算の提案にあたり、町政運営の基本方針とともに概要を申し上げます。

議員の皆さま方を始め、多くの方々のご支援を賜り、町長という重責を担わせて頂くことになり早、4か月が過ぎようとしております。

この間の協議等の場では、職員の皆さんとは旧知の仲でありながらも、立場を違えることとなったが故、いかなる課題にも可能な限り視点を違えてと意識して参りました。時として、職員視点の言動となってしまい、自分なりに反省をしたこともありましたが、第6次総合計画に基づく施策の推進と、懸案課題へ積極的に取り組んで頂いています。

また議会の皆様方にも、事あるごとに様々な形でお気づかいを頂き、住民福祉の増進という自治体の使命遂行に、心強い同志を得たと実感しており、お礼申し上げます。

改めて、順調なスタートを切れたことに深く感謝申し上げます。

2.予算案の概要と編成過程

本日ここに、一般会計73億円、9特別会計37億9,525万9千円、総額110億9,525万9千円の、平成22年度予算を上程させて頂く運びとなりました。

職員として何度も予算編成に携わって参りましたが、町長として初の当初予算編成でありましたので、どういった形で指示をして行けばと思案しておりました。

しかし、そんな私の思いとは裏腹に、平成21年7月から取り組んできた、「新年度の始まりは、経営計画策定から」という試行と、就任早々、選挙戦で示したマニフェストを題材として幹部職員やグループリーダー等と協議を重ねたことが功を奏して、予算編成作業は順調に進みました。

そして、従来の予算編成作業の大半は、「総務部長や財政担当による積算根拠の査定」でありましたが、本年は、各部長が所管課長やグループリーダー等と、事業目的やその効果の精査と結果に基づき、事業の取捨選択を本格的に始めて頂けました。

さらに、平成22年度当初予算編成作業の中で、23年度当初を見据えた議論をも為されたとの報告を受け、これまで議論を重ねてきた本町なりの行政経営手法が、少しずつ具体的な形になっており、この組織の将来に明るい兆しを感じました。

3.平成22年度政策の視点

予算の概要等につきましては、担当部長より説明をさせて頂きますので私は、施策の柱、方針について申し述べます。

まず、我が国は今、百年に一度の経済危機から脱する間もなく、再び、技術大国としての信用を揺るがす問題に直面をしております。今後、この問題が日本経済にどのような影響を及ぼすかは皆目、見当が付きませんが、財政出動による経済対策も限界に近付いてきていることから、大きな不安を覚えるものであります。

しかも政権交代によって、省庁の様々な分野で長年続いてきた仕組みが大きく変わろうとしており、情報収集に努めてはいますが、変化にリスクと混乱はつきものです。

そういった先の見えない中で職員は、予算積算等で随分苦慮しておりましたが今後、国県の施策がどう展開されるのかを見極めながら、第6次総合計画に示されている、「安全・協働・共生・公平・発展」を確かなまちづくりの尺度、価値基準として、平成22年度の舵取りを行ってまいりたいと思います。

日々の業務の中で、この視点を常に念頭に置き、施策方針の検討や実施、効果測定に取り組むことで、まちの施策の進むべき道が方向性を失うことはないと確信をしております。私はこの任期中、何度も何度も、この視点を言葉にして発して行きたいと考えております。

4.平成22年度政策の方針

政策の体系であります。第6次総合計画において、基本政策で示している4項目を柱として住民福祉の増進に努めてまいりたいと考えておりますので、平成22年度に取り組む事業と共にお話しさせて頂きます。

(1)人材育成

第1点目、「新しい時代を担う次世代を育む」、つまり、人材育成であります。人材は、どんな財にも勝ると言われるように、私も非常に重要であると考えております。

この世の中の暮らし全般に関わることでありますし、自立と共助のまちづくりの根幹となる部分でもあります。

平成22年度におきましては、次世代を担う児童・生徒の育成の舞台を整えようと進めている、明日の学校づくり事業であります。

今年度は、西小学校の耐震補強工事、南小学校の新築工事への着手、さらには、指定管理者による体育施設の管理運営や子ども手当の給付、園児や児童、生徒の給食費の公費負担等に取り組んでまいります。

また、所信表明でも述べましたが、積極的に、町長から幹部職員へ、行政から地域へと権限委譲を進めることで、より、自己決定、自己責任という、自主自立のまちづくりを推進したいと考えております。

今後、条例や規則、要綱等の見直しを図り、達成感の享受や事務の効率化を求めて参ります。

(2)環境・生活・経済活動基盤整備

第2点目は「未来へ引き継ぐ環境保全とまちの活力を創造する」、つまり、環境整備であり、生活基盤、経済活動の整備も含まれます。

21世紀のキーワードは「環境」と言われて久しい訳ですが、今、温暖化を始めとする課題は地球規模となっています。

研究等で気候の変動については諸説示されていますので、研究が進むにつれて新たな事実が判明するとは思いますが、我々はまず、地に足を付けて身近な環境保全に取り組む必要があると考えています。

さしあたって平成22年度については、可燃ごみの堆肥化や剪定枝のチップ化等による、減量化や資源化、遊休農地を利用した、農業後継者つくり施策による農地保全、さらには、橋りょうの耐震化計画作りや本町独自の経済対策、融資を受けられた方の保証料や利子に対する助成を継続して参ります。

(3)安全と安心

第3点目は、「健康で安心な暮らしと災害や犯罪などに強い社会を創造する」安全と安心であります。

経済成長と共に世の中の暮らしも様変わりをし、古き良き日本の伝統、お互いさま、共生(ともいき)の心が薄れ、個人の自由を尊重するがあまり、勝手思想がはびこるようになったこともあり、これまでの常識では考えられない、さまざまな危険が、日々の暮らし、人ぞれぞれの人生に潜むようになりました。

人々が豊かな暮らしを送るために、心の中に、安全・安心は欠かせず、範囲が広く効果が見極めにくいことから、行政としては対処しづらい面もありますが、個人で行うべきことや行政の限界をお話ししながら、取り組んでまいりたいと考えています。

平成22年度につきましては、健康推進施策と保険医療施策の連携強化、地域防犯事業への助成、防犯灯の増設及びLEDへの更新、防災対策として、ご家庭での取り組みへの助成制度を新設し、避難所備品の充実を図ってまいります。

(4)自治と協働のまちづくり
第4点目、「人の知恵・技・情報が活きる元気コミュニティを創造する」、自治と協働のまちづくりであります。
本町はこれまで、参画と参加のまちづくりを掲げ、情報公開やNPO活動促進施策により、協働の精神を培ってきました。
成熟した経済環境では、人と人が目的を共有し、それぞれの役割を果たすことが不可欠で、始めはなかなかイメージができなかった、「自助・互助・公助」の精神は、今、さまざまな施策推進に当たって常に考えられつつあります。
平成22年度につきましては、まちづくり基本条例に基づく地域自治組織の検討や、まちづくり活動推進事業及び町民活動支援センターを引き続き試行します。また、前回の見直しから4年が経過している、NPO活動促進やまちづくり活動支援の仕組み等を再検討して、必要に応じてその基準の見直しを行います。
この他にも、行財政運営等の一層の改善を目指して、経営計画書を基準とした、予算編成から決算、監査までの仕組みを研究し、職員が各々、年間目標を定め部課長が指導する、人事評価制度もスタートします。
また、行政全体の事務処理の効率化を検討するプロジェクトの設置や、事務改善等提案制度の運用を図ろうとも考えています。

5.活かす

今、私達は、経済危機対策と財政危機対策、そして社会保障費を始めとする、行政需要の多種多様化、増大化に直面し、これらは密接に関連しながらも、ともすると相反する場面も多々あり非常に難しいかじ取りを迫られています。

その困難な状況を乗り越えるためには、決して倹約や事業縮小ではない、限られた税と人材を最大限、「活かす」ということが最も有効な手段と考えています。

今、福祉こども課においては、限られた財源と人材で、いかに保育ニーズに対応できるのか、そのための制度を協議してくれています。

増え続ける社会保障費に直面し、これまでのニーズに応じて施設を増やし、保育士を雇用するこという対処法では、財源確保等に限界があるのだという現状認識からの取り組みと評価しています。

これからの行政運営にはこうした取り組みが不可欠であり、右肩上がりの社会が終焉した今、旧態依然の意識のままでは、様々な事業見直しに着手しても効果は期待できません。

幸い本町には、「協働の精神」という、これからの時代に不可欠なノウハウが既に蓄積されており、未知の分野で新たな取り組みを始めるのではなく、従来あるものに工夫をして付加価値をつける、そのマンパワーをどう確保し活かすのか、ということが大きな命題であろうと認識しています。

そういった面では、「危機的な状況だ」とか「まちの皆さんのために」という、職員に課せられた使命遂行に突き進める人材を核として、火種

を組織内へ、まちの中へと飛び火させたいと思い描いています。

6.おわりに

今の大口の豊かさは、先人や先輩諸氏の、逆境によって培われたくじけない心とヒューマニズムある努力の賜物であり、これから未来は、我々の努力によって決まります。

このまちに住み働く人々と、町民のために、友達のために、家族のために・・・と、それぞれ動機は違えど、周りの人々を思いやりながら時を重ねられる同志の先頭に立って、実直にまい進して参りたいと考えております。

議員の皆さまの、一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成22年度の施政方針とさせて頂きます。

平成22年3月3日

大口町長 森 進

作成日 2011年3月10日