平成24年度施政方針

平成24年度施政方針

1.はじめに

それでは、議長さんのお許しを頂きましたので、平成24年度当初予算の提案にあたりまして、その概要と町政運営の基本方針を申し上げます。
まずはじめに、この一年間、議会の皆様方には、事あるごとに様々な形でお気づかいやお力添えを頂いたことに、この場をお借りいたしましてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後につきましても、いっそう、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
さて今回の予算編成は、町長という重責を担わせていただいてから3回目であります。本町の羅針盤である第6次総合計画を指針として、私なりに大口町の将来に思いを巡らし、幹部職員やグループリーダー等と、予算積算額よりは施策の目的や具体化策について協議を重ねました。
その結果、各施策の課題を浮き彫りにし、その対応策や施策の方向性を確認、共有することができたものと感じております。

2.当初予算案の概要と経営計画の策定

こうした中で、本日、一般会計73億7千万円、8特別会計42億433万1千円、総額115億7,433万1千円の平成24年度当初予算を上程させて頂く運びとなりました。 「新年度の始まりは、経営計画の策定から」をモットーに、今年度も、総務部長が経営計画書策定方針を示し、歳出予算枠ではなく、一般財源枠を各所管部長に配分をいたしました。
この一般財源枠を配分する手法は2年目を迎えたこともあり、各部長は事業規模の縮小やコストの削減といった視点のみではなく、施策目的や効果、今後の行政需要を勘案しながらより一層、特定財源の確保に主眼を置きつつ、事業規模や対象者の拡大の検討に入る意識が生まれてきたことを感じています。
この枠配分方法は、職員の手づくりの制度であり、まだまだ、改善の余地は多々あるとは思いますが、その都度、手を加え、職員一人ひとりが、所管外の施策にも意識を持ちながら、担当する施策に取り組む意識の醸成に努めて参りたいと考えております。

3.平成24年度行政運営の基本方針

予算の概要等につきましては、担当部長より説明をさせて頂きますので、 私は、行政運営の基本方針について申し述べます。 我が国の経済は、繊維から重工業、そして家電・自動車へとその産業構造を変えながらも、ほぼ一貫して輸出によって下支えされてきました。
しかしながら、ここ最近の止まらない円高の進行は、輸出関連企業に大きな打撃を与え、その結果、今後の日本経済にどれ程の影響を与えるのか想像ができない状況であります。
こういった先の見えない経済情勢に加え、国及び県政は今、変革の渦中にあります。変化にリスクと混乱はつきものですが、子ども手当や税控除など移り行く制度改正を実践するのは、我々市町村職員であり、各省庁の動向情報の収集やその対応に、職員はほんろうされながら、多くの時間を費やしております。
職員が本来果たさなければならない、町民の皆さんと向き合う時間が妨げられているのではないかと感じることすらあります。
さりとて、私共は、本町の行財政運営に責任を持ち、住民の福祉の増進のため着々と施策を遂行して行かなければなりません。
今後、国県の施策がどう展開されていくのかを着実に見極めながらも、 第6次総合計画に示されている価値基準「安全・協働・共生・公平・発展」を確かなまちづくりの尺度として、精一杯、かじ取りを行って参りたいと考えております。

4.平成24年度の施策体系とその内容

次に施策の体系であります。本年も、第6次総合計画で示している4項目に基づき、本年度、取り組む代表的なもののお話しをさせて頂きます。

(1)人材育成

まず第1点目、新しい時代を担う次世代をはぐくむ、人材育成であります。 人材は、どんな財にも勝ると言われ、私も常々、人材の重要性を感じているところであります。平成24年度は、次世代を担う児童・生徒の育成の舞台を整えようと、耐震化と共に進めてきた、明日の学校づくり施設整備事業がいよいよ一区切りの年度を迎えます。
町行政は、明日を担う子どもたちが立つステージを設け、教育委員会は、活気あふれるプログラムを用意するといった、町行政と教育委員会が一体となった形で教育行政を遂行して参りたいと考えております。
また引き続き、園児の主食代や児童、生徒の給食費を公費負担して参りますが、新たに特別支援学校に通う児童、生徒についても、給食費の半額を助成して参ります。
さらに、町民の皆様方の協働のパートナーとなる職員が、切磋琢磨し、スキルアップすることをうながすために、職員が部課長との面談を通じて目標設定をする人事評価制度の積極的な運用と、人事給与面でのメリハリある処遇を実施できるよう、その準備を進めて参ります。

(2)環境・生活・経済活動基盤整備

第2点目は、未来へ引き継ぐ環境保全とまちの活力を創造する、環境や生活、経済活動の整備であります。この課題を解決することは、壮大な視野での国家的な取り組みが不可欠であろうと考えており、本町においては、身近な環境保全や基盤整備、町内企業の経済支援に取り組んで参りたいと考えております。 平成24年度については、可燃ごみの堆肥化や剪定枝のチップ化等による、減量化や資源化、遊休農地の活用施策を関連させて実施する、農力造進事業を継続して参ります。
また、町道小口線の県道以南の整備に着手するとともに、生活道路や橋りょうの長寿命化を図るための計画作りに取り組んで参ります。
さらに、中小企業の皆さんの中で融資を受けられた方への、保証料や利子に対する助成制度を効果的な制度へと見直しながら維持すると共に、新たに起業家支援といたしまして、県融資制度を受けられた方への保証料や利子に対する助成制度を実施いたします。

(3)安全と安心

第3点目は、健康で安心な暮らしと災害や犯罪などに強い社会を創造する、安全と安心であります。経済成長と共に世の中の暮らしも様変わりをし、東日本大震災に代表される、これまでの常識では考えられない災害や、様々な危険や事件が頻発するようになってきたと危惧しているところであります。
平成24年度は、社会資本整備総合交付金を受け、同報無線のデジタル化や避難所備品の充実、さらには、中央公民館を防災拠点施設と位置付けるための準備をし、災害に強いまちづくりを目指してまいります。
また、健康推進施策と保険医療施策の連携強化、防犯灯の増設及びLEDへの更新を継続して参ります。

(4)自治と協働のまちづくり

最後に第4点目、人の知恵・技・情報が活きる元気コミュニティを創造する、自治と協働のまちづくりであります。 本町は十数年にわたって、行政理念として揺るぐことなく、参画と参加のまちづくりを掲げ協働の精神を培ってまいりました。
昨年11月には、地域自治組織等の提案がなされ、いよいよ具体化する段階に入って参ります。
本年度は、設立準備委員会の立ち上げに向け取り組んでいくとともに、 今後の行政区や新たな地域自治組織を担っていく、次世代の人材育成を目的とした地域活力創造事業を実施して参ります。
議員の皆様方にも、お地元でお力添えをいただきますよう、お願いするものであります。

5.活かす

経済が成長し、物質的な豊かさを求めて発展を遂げてきた、いわゆる成長社会での様々な仕組みは、経済構造の変化とともに既に始まっている人口減少と少子高齢化によっていよいよ立ち行かなくなってきています。
この困難な状況を乗り越えるためには、人材を始めとした限られた「財」や「経験」「知識」をつなぎ合わせアレンジし、それぞれの能力を最大限「活かす」ことが求められています。
先程、お話をさせていただきました、道水路、橋りょうの「長寿命化計画の策定」や「社会資本整備総合事業」の取り組みは、「資産を活かす」こと、これまで複数の課が抱えていた課題を繋ぎ合わせ、町全体の計画として指針をまとめたことにより、国庫補助対象の可能性が生まれたわけで、そういった面で、職員の取り組みとして新たな一歩が踏み出せたのではないかと評価しております。
これからの行政運営には、こうした「職員の姿勢」が不可欠であり、それを継続することで、町民の皆さまからお預かりした税金を有効に安定的に活用させて頂くことが可能になるのではないかと考えております。
また、皆様もお気づきのこととは思いますが、ボランティア活動は従来、福祉分野が主な舞台でありましたが、講座やイベント、学校支援や草刈などの環境保全、憩いの四季やワークセンターなど、行政施策の各所に、まちの皆様が参画、参加する場面が目に見える形で増えております。
これは、町民の皆様、個々が持つ意欲やノウハウが、広くまちの暮らしに活かされていることに他ならず、その自発的な想いと行動力に敬意を表するものであります。
そういった想いや取り組みを、職員がしっかり受け止め、大口町10年来の「協働の精神」による取り組みから生まれた、まちづくり基本条例に記されている、住民と企業、行政が共にまちの未来を担う新たな公共運営の歩みが着実に進むものと確信しており、私は、その推進に向けた決断をして参ります。

6.おわりに

未曽有の東日本大震災から間もなく1年が過ぎようとしていますが、多くの方々が今なお当り前であった暮らしを失い、困難に立ち向かわれています。
私は震災によって、最大の財産は、人であり、人の心、人のつながりであり、危機に直面した時には、経験や仕組みを超えて、当り前のことを迅速に実行に移す、決断と行動力が不可欠だという認識をより大きく持ちました。
私達は、先人のたゆまぬ努力によって、豊かなまちを享受していますが、日々の暮らしに今一度、感謝し、そして微力ながらも復興に向けた支援の取り組みを継続すると共に、そういった取り組みを通して、これから迎えるであろう、超高齢社会と日本経済の変化、さらには、いずれこの地を襲うであろう震災等に備えなければなりません。
私は、協働のまちづくりにご参加いただける方々を拝見する度に、モノやお金の損得ではない、一人ひとりが地域の役に立ちながら暮らすことで生きがいを得られる、それが豊かな暮らしだとする、そんな価値観の拡がりの息吹を、このまちの中で感じております。
本町はこの4月に、町制施行50周年を迎えます。
私は、この節目の年に、そういったまちを次の世代へ引き継ぐ年として、町民及び議会の皆様方に、現在、直面している課題の本質やその情報を職員と共に積極的にお伝えし、皆様方と話し合い、先送りすることなく決断し実行して参りたいと考えています。
議員を始めとする皆様方の、いっそうのご理解とご支援を賜りますよう お願い申し上げ、平成24年度の施政方針とさせて頂きます。

平成24年3月3日
大口町長 森 進

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更新日 2013年3月4日