平成27年度施政方針

平成27年度施政方針

平成27年度施政方針

1.はじめに

 それでは、議長さんのお許しを頂きましたので、平成27年度当初予算の提案にあたりまして、町政運営の基本方針を申し上げます。
 はじめに、この一年間、就任当初と変わらず、議会の皆様方から様々な形でご理解、お力添えをいただいたことに、この場をお借りいたしまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。お蔭をもちまして、町長就任から1年余が過ぎ、まちに関わる多くの皆様と接する機会を頂き、さまざまなご意見や課題に直面し認識することができました。その都度、部課長を始め職員と協議を重ね対応して参りましたが、いざ取り組むとなると、中には時間を要するものも多々あり、行政課題の実態や運営の難しさを痛感した1年でもありました。
 平成27年度の当初予算編成に当たっては、今年度も引き続き、総務部長が、各部長に一般財源の枠配分額と経営計画策定方針を示してスタートしております。部課長をはじめ、職員自らが事業の振り返りや調整、取捨選択、そして、特定財源の確保に努め、本日ここに、平成27年度当初予算、一般会計83億円、8特別会計46億3,312万6千円、総額129億3,312万6千円を上程させていただく運びとなりました。

2.平成27年度行政運営の基本方針

  当初予算案につきましては、所管部長より説明をさせて頂きますので、私は、行政運営の基本方針について申し述べたいと思います。
 我が国では、急速に進んだ平均寿命の伸びや出生率の低下による少子高齢化がもたらす社会保障費の増大、労働力や購買力の低下などによる国力の低下が顕著化し始めています。国は、この課題に対応するため「まち・ひと・しごと創生法」を成立させ、産業基盤や雇用、子育て環境の整備が、それぞれの地域で実情に応じて実施されるよう、地方公共団体にも「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定を求め、日本全体が総力を挙げて取り組むこととしています。
 県においても既に、同様の取り組みに着手しており、本町においても、地方分権時代の幕開けとなった平成12年度より、情報公開やNPO活動促進条例の制定をきっかけとして、第6次総合計画やまちづくり基本条例の制定、地域自治組織の設立など、自主自立、参画と参加のまちづくりに取り組んできております。先人のご尽力のおかげで本町は、久しく財政豊かなまちと言われてきている中、時代に先駆けたまちづくりの取り組みは、時として理解や評価を得にくかったのだろうと推察いたしますが、今、着実に、これからの時代の「公共の形」とその「担い手」が育まれていると実感しております。
 私は家業で培った経験から、事業や経営というものは、立ち止まったり、現状に満足した瞬間から衰退するものだと確信しており、人生もまた、しかりであります。 私はまちの皆様方に常々、「財政豊かな大口町」「お金でいろいろなことができる大口町」というイメージは変えて欲しいとお伝えしています。それは、先行きを懸念し悲観的になるのではなく、先人や諸先輩から受け継いだ大口町の歴史文化、暮らしや資産を、ありとあらゆる視点や手法で少しでも改善し新たな芽吹きを加えて、次の世代へお渡ししたいと考えているからであります。直ぐに目に見えようになるもの、良い成果が得られるものは僅かであろうと覚悟していますが、今後も、行財政運営の根幹に協働の精神を据え、議会を始めまちの皆様や職員と一丸となり、この困難な状況を乗り越えるため精一杯取り組んでまいります。
 ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

3.未来への一歩

  本年は、第6次総合計画の最終年度に当たります。まちづくり理念や視点等を示した計画でありますので、具体的な検証という点ではやや難しい面がありますが、行政運営は、テーマや手法は時代の変化に対応するものの、住民の福祉増進という理念は普遍的であります。そういった点を踏まえながら、非常に幅広い取り組みを求められる行政施策ではありますが、次の3点を重点的に取り組んでまいります。
 はじめに「地域自治と協働」です。平成21年には、まちづくり基本条例を制定し、平成25年には3つの地域自治組織が設立され、地域ごとの特性をいかした活動が活発に取り組まれています。始めた当初はなかなかイメージができなかった「自助・互助・公助」の精神は、今、さまざまな事業を経験して、町民の方々の中に拡がりつつあるかのように感じております。また職員にあっても、まだまだ、そういった視点やイメージが浸透しているとは言えず、住民の皆さんの取り組みに劣らぬよう、常に施策構築、実施の際に、協働の理念を念頭に置くよう働きかけを続け、相互が切磋琢磨しレベルアップが図れればと期待しております。合わせて、行政区やコミュニティ制度との役割分担等についても整理し、次の段階に向けた準備を進めて参ります。そして、議員の皆様を始めとする多くの方々にご理解ご協力いただき進めております北保育園建設事業は、いよいよ建築工事が始まります。検討事項が多く、積極的に、新たな技術とそれに伴う補助制度を活用しようとしていることから、作業スケジュールに若干、遅れが出ておりますが、これまで大口町が培ってきた協働の精神と経験を活かし、町内企業さんをはじめ、住民の皆さんと職員、専門家が協力してひとつの目標に向かって取り組んで参ります。他にはない、みんなの想いがこもった、まさに大口町らしい保育園ができあがるものと期待しています。
 2点目は「安心安全」についてであります。人々が豊かな暮らしを送るためには、安全・安心への対応は欠かすことのできないものであります。世の中では、様々な事件が起きていますが、特に、子ども達の安全安心に気を配って参りたいとも考えております。昨夜も、比較的大きな地震がありましたが、防災では災害発生時、業務を継続しながらかつ、他の地域の後方支援の役割も担うことができるよう、庁舎の非常用発電設備の整備や、公共施設への太陽光発電設備の設置、緊急輸送路となり得る、農道のり面修繕等、防災力強化のため施設整備を引き続き推進して参ります。また、防犯灯の設置や維持管理、防犯カメラの検証等についても、昨今の事件では、その捜査の際、度々、防犯カメラの映像が利用されております。抑止力という面から有効な手立てであり、住民の皆様方と協議して、今後の方策を明確にできればと考えております。さらに、健康増進や食育、食の安全、地域での見守り事業にも引き続き取り組み、空き家対策も何らかの形で着手できればと模索しているところであります。
 そして3点目は土地利用についてであります。就任当初から、今の都市計画等は、50年程前に策定された、土地改良や道路網等の計画を継承してきていることから、なかなか将来は見通せないものの、50年後をイメージして、土地利用を見直してみたいと申し上げてきました。そこでまず、未来の土地利用検討プロジェクトが現状把握とその評価を行い、その上で、土地利用計画として将来像を描いてくれました。生活基盤整備は、経済活動や人々の暮らしに密接しております。平成27年度においては、都市整備課に担当者を置き、都市計画マスタープランや農業振興地域整備計画の見直しを踏まえ、国道41号の6車線化による外坪・松山における、立体交差の平面化やそれに伴う信号機の設置要望、さらには、県道宮後小牧線線と町道内々津線の接続を検討するなど、変更等は容易ではありませんが、着実に具体化して参りたいと考えております。さらに、農地についても、生産性や立地条件を勘案して、保全と開発のエリア分けが出来ればと考えています。
 いずれにいたしましても、いつの時代もおおよそ先行きは不透明で、言い換えれば、夢や希望を持つチャンスが与えられているということではないでしょうか。先人は、まちの将来を憂い、孫子の時代の繁栄のため、強い気概を持って事をなしたはずで、私もそれにならって、旗を振り続けたいと考えております。

4.おわりに

 国においては、経済再生を目指して、大胆な金融政策や機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に推進した結果、株価上昇や円安などが進み、ゆるやかな回復基調が続いていると言われていますが、実体経済や人々の暮らしの豊かさに結びついているかと言えば、その評価は分かれるところであり、恐らく、場面や立場、視点によって、回答はまちまちにならざるを得ないのだと思います。しかも、今後もこういった状況が続くという保障はなく、様々なモノが、仕組みが、連鎖的に崩壊するような、厳しい将来が待ち受けているのかもしれません。昨日のテレビでも、将来、ロボットが人に代わっていろいろな仕事を行うようになると取り上げていました。
 アインシュタイン博士はこんな言葉を残しています。
 「過去から学び、今日のために生き、明日に希望をもちなさい。大切なことは、疑問を持つことをやめないことだ。」
  人は創造や変化を求めながら、当事者になると、結果の見えぬ変化を怖がり、困難な状況の中で継続が求められる改革や創造的な取り組みを見守り続けることが苦手なようです。
 しかしながら、私が町政を担うにあたり、強く想い描いたことは、私たちの未来を担ってくれる子どもたちが、50年後、このまちに住んでよかったと思えるようなまちにしたいということ、その礎を築くため初心を忘れず皆様の一緒に考え実行に移して全身全霊で取り組むことであります。今を生きるのに精一杯、そんな先々のことなどといった声も多々頂きましたが、それでも私は、そういった声に耳を傾けながらも、初志貫徹、一人ひとり、ご理解ご協力頂ける仲間を増やしながら、想いを遂げたいという気持ちにあふれています。
 先人は、このまちをつくり我々に遺しました。その想いと取り組みに感謝し、このまちを次の世代へ引き継ぐため、議員を始めとする皆様方のいっそうのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成27年度の施政方針とさせて頂きます。
 
 平成27年3月4日
 大口町長 鈴 木 雅 博
更新日 2015年3月10日