○大口町こども条例

令和7年9月30日

条例第34号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 こどもの権利(第3条)

第3章 こどもの権利の保障(第4条―第8条)

第4章 こどもに関する基本的な施策等(第9条―第16条)

第5章 こどもに関する施策の推進(第17条)

第6章 その他の事項(第18条・第19条)

附則

大口町に生まれ育つこどもたちの健やかな成長と未来を願い、「大口町こども条例」を制定するにあたり、まちに住むこどもたちと共に、こどもたちが幸せに生きるために大切にしたいこと、こどもたちが望む未来について想いや願いを語り合い、前文を創りました。

こどもたちと協力して創りあげた前文は、こどもたちの想いが込められた未来への贈り物です。こどもたちの想いを未来へ届けるため、条例の基本理念として次に記します。

私たちの大口町は、五条川や桜、田畑など季節ごとに移りゆく自然と共に暮らす豊かなまちです。そして、こどもの学びや成長を支援する施設も充実しており、年間を通じて様々な行事や地域のボランティア活動などが行われています。

こどもは笑顔で幸せに生きるために、自分の意見をはっきり伝え、大人に助けを求めることができます。こどもは将来の可能性を広げるために、様々な大口町の取り組みを活かすことができます。

私たちこどもは、あたたかな陽を浴びて育つ桜の木のように、私たち自身でのびのびと健やかに育つことができる未来を目指します。そして、全ての世代がつどい、活気あふれるまちにしていきます。さらに、次の世代のこどもたちにとっても暮らしやすい大口町へとつなげていきます。

これらのこどもたちの想いを受け、私たち大人は、こどもたちが思い描く、活気と優しい笑顔にあふれ、こどもたちが健やかに育つことができるまち、大人になっても住み続けたいと思うようなまちの実現を目指していきます。

そして、大口町は、まちに誇りと愛着を持って育つこどもたちの声に耳を傾け、想いや願いを受け止め認め合い、笑顔あふれるこどもたちが大好きな大口町であり続けるために、「大口町こども条例」を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、日本国憲法、児童の権利に関する条約、こども基本法(令和4年法律第77号)等の精神に基づき、こどもの権利を保障し、こどもに関する施策の基本となる事項等を定めることにより、全てのこどもが幸せに暮らすことができるまちの実現を目指すことを目的とします。

(用語の意味)

第2条 この条例で使用する用語の意味は、次のとおりとします。

(1) 「こども」とは、18歳未満の者をいいます。また、これらの者と等しく権利を認めることがふさわしい者を含みます。

(2) 「保護者」とは、こどもを現に養育する親と里親その他の親に代わりこどもを養育する者をいいます。

(3) 「育ち学ぶ施設」とは、こどもを対象とする学校、社会教育施設、児童福祉施設その他のこどもが育ち、学び、活動するために利用する施設をいいます。

(4) 「地域住民等」とは、地域の住民及び団体で、こども以外のものをいいます。

(5) 「事業者」とは、事業活動を行う全てのものをいいます。

第2章 こどもの権利

(こどもにとって大切な権利)

第3条 こどもは、児童の権利に関する条約の考えに基づき、あらゆる場面で、権利の主体としてこどもの権利が保障され、次に掲げる権利が特に大切なものとして保障されなければなりません。

(1) 命が守られ、安心して幸せに暮らすこと。

(2) 愛情と理解を持って育まれること。

(3) 健康に生き、適切な医療が受けられること。

(4) いじめ、虐待、体罰等のあらゆる暴力や犯罪から心や体が守られること。

(5) 障がい、民族、国籍、性別その他のこども又はその家族の状況を理由としたあらゆる差別や不当な不利益を受けないこと。

(6) 権利の侵害から逃れられ、権利の侵害を受けたときに支援や救済を求めること。

(7) プライバシーが守られること。

(8) 個性が認められ、人格が尊重され、自分らしく生きること。

(9) 自分が持っている力を伸ばすための必要な支援を受けられること。

(10) 年齢や発達の程度に応じて自分に関することを自分で決めることができ、必要に応じて適切な支援を受けられること。

(11) 学ぶこと。

(12) 遊ぶこと。

(13) 文化、芸術、スポーツや自然に親しむこと。

(14) 安心できる居場所が確保され、心や体を休めることができること。

(15) 自分の意見を表明すること。

(16) 意見を表明するために、必要な支援を受けられること。

(17) 表明した意見について、年齢や発達の程度に応じてふさわしい配慮がなされ、尊重されること。

第3章 こどもの権利の保障

(町の責務)

第4条 町は、国、他の公共団体及び関係機関と協力して、こどもの権利が保障されるよう努め、こどもに関する施策を総合的に実施しなければなりません。

2 町は、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民等及び事業者がそれぞれの役割を果たすことができるよう必要な支援を行わなければなりません。

(保護者による権利の保障)

第5条 保護者は、こどもの養育についての第一義的な責任を有していることを認識し、こどもの年齢や発達の程度に応じた養育に努めなければなりません。この場合において、保護者は、必要に応じて町その他関係機関に相談し、支援を求めることができます。

2 保護者は、こどもの思いや願いを受け止め、一緒に考え、話し合い、その意見を尊重し、こどもの最善の利益を優先して支援するように努めなければなりません。

(育ち学ぶ施設の関係者による権利の保障)

第6条 育ち学ぶ施設の関係者は、こどもの年齢や発達の程度に応じ、こどもが主体的に学び、育つことができるよう必要な支援に努めなければなりません。

2 育ち学ぶ施設の関係者は、いじめ、虐待、体罰等のあらゆる暴力や犯罪からこどもを守るため、町その他関係機関と連携、協力し、その未然防止や解決に向けて努めなければなりません。

3 育ち学ぶ施設の関係者は、こどもの思いや願いを受け止め、相談に応じ、こどもの意見を尊重するよう努めなければなりません。

4 育ち学ぶ施設の関係者は、こどもが安全に安心して学び、活動できるよう、環境整備に努めなければなりません。

(地域住民等による権利の保障)

第7条 地域住民等は、こどもが地域社会とのかかわりの中で豊かな人間性を育むことを認識し、必要な支援に努めなければなりません。

2 地域住民等は、いじめ、虐待、体罰等のあらゆる暴力や犯罪からこどもを守るため、地域一体となってこどもを見守り、安全で安心な地域づくりに努めなければなりません。

(事業者による権利の保障)

第8条 事業者は、職場で働く保護者が仕事と子育てを両立できるように必要な職場環境の整備に努めなければなりません。

第4章 こどもに関する基本的な施策等

(こどもの意見表明、参画や参加の促進)

第9条 こどもは、自分の意見を表明することができ、それが尊重されます。

2 町は、こどもが意見を表明したり、多様な社会的活動に参画や参加したりする機会を設けるとともに、こどもの年齢や発達の程度に応じてこどもの意見を尊重しなければなりません。

3 町、保護者、育ち学ぶ施設の関係者及び地域住民等は、こどもが家庭、育ち学ぶ施設及び地域において、意見表明と参画や参加しやすい環境づくりに努めなければなりません。

4 町、保護者、育ち学ぶ施設の関係者及び地域住民等は、こどもの年齢や発達の程度に応じた意見の聴き方に努め、年齢、発達の程度その他の理由によって自らの意見を表明できないこどもに対しては、その意見を汲み取り、必要に応じてその意見の表明を支援するよう努めなければなりません。

(こどもの居場所づくり)

第10条 町は、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民等、事業者及び関係機関と連携、協力し、全てのこどもが身近な地域において、各々に合った居場所を切れ目なく持つことができるよう努めなければなりません。

2 町は、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民等、事業者及び関係機関と連携、協力し、こどもの視点で考え、こどもの声を聴きながら、こどもが安全で安心して過ごすことができる居場所づくりを進めるよう努めなければなりません。

3 町は、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民等、事業者及び関係機関と連携、協力し、こどもが様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や遊びの機会に接することができるよう努めなければなりません。

(子育て家庭への支援)

第11条 町は、保護者が安心して子育てをすることができるよう、必要な支援を行わなければなりません。

(支援を必要とするこどもや家庭への支援)

第12条 町は、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民等、事業者及び関係機関と連携、協力し、障がいのあるこども、外国籍のこども、経済的に困難な事情にある家庭のこどもその他の支援を必要とするこどもとその家庭の把握に努めるとともに、その状況や環境に応じた支援を総合的かつ一体的に行わなければなりません。

(地域への支援)

第13条 町は、こどもの権利保障に資する地域活動を支援し、連携、協力するよう努めなければなりません。

2 地域住民等は、こどもに関わることについて、町その他の関係機関に必要な支援を求めることができます。

(育ち学ぶ施設への支援)

第14条 育ち学ぶ施設の設置者、管理者及び職員は、育ち学ぶ施設においてこどもの権利を保障するために必要な支援を受けることができます。

2 町、育ち学ぶ施設の設置者及び管理者は、育ち学ぶ施設の職員がこどもの権利を理解し、保障するために、必要な支援と情報提供に努めなければなりません。

(権利侵害に関する未然防止、相談及び救済)

第15条 町は、いじめ、虐待、体罰等のあらゆる暴力や犯罪の未然防止と早期発見に取り組まなければなりません。

2 いじめ、虐待、体罰等のあらゆる暴力や犯罪によりこどもの権利の侵害を受けている又はそのおそれがあるこどもを発見した者は、ただちにこれを町及び関係機関に通報しなければなりません。

3 町は、いじめ、虐待、体罰等のあらゆる暴力や犯罪によるこどもの権利の侵害に関する相談や救済について、関係機関と連携、協力し、こどもを速やかに救済するために必要な支援を行い、解決するよう努めなければなりません。

4 町は、こどもやその保護者が権利侵害とその救済に関する問題について、安心して相談し、救済を求めることができる体制の整備と充実を図り、その情報提供に努めなければなりません。

(広報及び啓発)

第16条 町は、こどもの権利、この条例の理念及び内容について、広く知らせることにより普及に努めなければなりません。

第5章 こどもに関する施策の推進

(こども総合計画)

第17条 町は、こどもに関する施策を総合的に推進するためのこども総合計画を策定します。

2 こども総合計画は、必要に応じて、その内容を見直します。

3 町は、こども総合計画を策定するときや見直すときは、こども、地域住民等及び大口町子ども・子育て会議の意見を聴くとともに、その意見が反映されるよう努めなければなりません。

4 町は、前項のこども総合計画を策定したときや見直したときは、速やかにその内容を公表します。

第6章 その他の事項

(条例の見直し)

第18条 町は、この条例の目的を達成するため、こどもを取り巻く環境及び社会の変化を勘案して必要があるときは、この条例の見直しを行うものとします。

2 町は、前項の見直しをしようとするときは、前条第3項に準じて行うものとします。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定めます。

この条例は、公布の日から施行します。

大口町こども条例

令和7年9月30日 条例第34号

(令和7年9月30日施行)