○大口町小規模・中小企業振興基本条例

令和元年12月24日

条例第61号

私たちのまち大口町は、のどかさの残る田園風景、心にうるおいを与える五条川の桜並木をはじめ、輝く水と緑のある自然環境を保ちつつ、昭和30年代初頭に住民ぐるみで積極的な企業誘致に取り組むなど、先人たちのたゆまぬ努力の積み重ねにより、日本有数の「豊かなまち」へと発展してきました。

この発展とともに、小規模・中小企業者はそれぞれの事業活動を通じて地域経済を活性化させ、まちづくりの担い手として重要な役割を果たしてきました。

しかしながら、近年、人口減少、少子高齢化による労働力不足、後継者不足、経済のグローバル化や情報通信技術等の飛躍的な進歩など小規模・中小企業者を取り巻く環境は大きく変化しています。このような時代の流れの中で、小規模・中小企業者は、創意と工夫により経営の安定化を図り、あるいは新たな事業展開に取り組むなど、自らの持てる力を十分に発揮することで環境の変化に対応するのみならず、これを飛躍の糧とすることが必要です。

また、小規模・中小企業者は、自らが地域経済活性化の重要な役割を担っていることを自覚し、それぞれの事業活動を通じて雇用の確保・拡大を図り、次世代を担う人材の育成に努め、地域の魅力向上に積極的な役割を果たすべき立場にあります。

さらに、小規模・中小企業者が地域社会との連携を深めることで、地域資源の利活用を促進し、地域内における循環型経済を形成することも期待されるものであり、豊かで強く、自然環境にも配慮した大口町の健全な発展へと繋げることができます。そして、小規模・中小企業者のみならず、それを取り巻く全ての者がその想いを共有し、協働することで、持続的な地域振興に取り組んでいくことが重要です。

かかる取組により、さらに豊かで健全な大口町を次世代に引き継ぎ、子どもたちが引き続き大口町に住み、大口町で働きたいと考え、夢や希望を描ける町であることを目指したいと思います。

これらのことを深く認識し、まちづくりに関わる者が一体となって、自ら挑戦し続けられる小規模・中小企業者の振興を図るため、ここに、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、大口町の発展における小規模企業者及び中小企業者(以下「小規模・中小企業者」という。)の重要性に鑑み、小規模・中小企業者の振興についての基本理念を定め、小規模企業者、中小企業者、町、商工会、大企業者、金融機関、各種団体、教育機関及び町民が、それぞれの役割について相互理解を深めることにより、地域経済の持続的な発展及び町民生活の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当するものをいい、町内に事業所、事務所又は店舗(以下「事業所等」という。)を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 中小企業者のうち、法第2条第5項に規定する小規模企業者をいう。

(3) 商工会 商工会法(昭和35年法律第89号)の規定に基づく商工会で、町内に事務所を有するものをいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の事業者(金融機関及び各種団体を除く。)をいい、町内に事業所等を有するものをいう。

(5) 金融機関 銀行、信用金庫その他金融業を営むものをいう。

(6) 各種団体 中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条に規定する中小企業団体等、その他の中小企業に関する団体をいう。

(7) 教育機関 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学、高等専門学校及び同法第124条に規定する町内専修学校並びに愛知県内に所在する国又は愛知県が所管する公的研究機関をいう。

(8) 町民 町内に住所を有する者及び町内に通勤又は通学する者並びにまちづくりに関わる団体及びこれらに準ずる団体等で町長が特に認めるものをいう。

(基本理念)

第3条 小規模・中小企業者の振興は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」という。)として、これに基づき推進されなければならない。

(1) 小規模・中小企業者自らの創意工夫及び自主的な努力を基本とすること。

(2) 小規模・中小企業者が地域社会の発展及び町民生活の向上に重要な存在であることを認識すること。

(3) 小規模・中小企業者、町、商工会、大企業者、金融機関、各種団体、教育機関及び町民の協働により行うこと。

(小規模・中小企業者の努力)

第4条 小規模・中小企業者は、基本理念に基づき、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的に経営の向上及び改善に努めるものとする。

2 小規模・中小企業者は、事業活動を行うに当たっては、経営基盤の強化、人材の育成及び雇用環境の充実を図り、従業員が生きがい及び働きがいを得ることができる職場づくりに努めるものとする。

3 小規模・中小企業者は、町が実施する小規模・中小企業者の振興に関する施策(以下「施策」という。)に協力するよう努めるものとする。

4 小規模・中小企業者は、相互連携を図り、大企業者及び各種団体との連携に努めるとともに、生産、製造又は加工される製品及び提供される役務の利用に努めるものとする。

5 小規模・中小企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するよう努めるものとする。

(町の責務)

第5条 町は、基本理念に基づき、社会経済情勢の変化に対応した施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 町は、施策の立案及び実施に当たっては、施策が小規模・中小企業者の経営に及ぼす影響について事前に考慮する責務を有する。

(商工会の役割)

第6条 商工会は、基本理念に基づき、小規模・中小企業者の経営の安定化を図り、改善及び革新のための取組を積極的に努めるものとする。

2 商工会は、小規模・中小企業者の実態を把握し、自らの事業活動に反映するとともに、商工会会員相互の関係強化の促進を図るよう努めるものとする。

3 商工会は、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第7条 大企業者は、基本理念に基づき、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 大企業者は、小規模・中小企業者により生産、製造又は加工される製品及び提供される役務の利用に努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、基本理念に基づき、小規模・中小企業者の資金需要に対する適切な対応、事業活動に有用な情報の提供その他の方法により、小規模・中小企業者の経営の向上及び改善に努めるものとする。

2 金融機関は、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(各種団体の役割)

第9条 各種団体は、基本理念に基づき、小規模・中小企業者の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(教育機関の役割)

第10条 教育機関は、基本理念に基づき、人材育成並びに研究開発及びその成果の普及における取組を通じて、小規模・中小企業者の成長発展に協力するよう努めるものとする。

2 教育機関は、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(町民の協力)

第11条 町民は、基本理念に基づき、小規模・中小企業者により生産、製造又は加工される製品及び提供される役務を利用することをもって、小規模・中小企業者の健全な発展及び育成に協力するよう努めるものとする。

(基本的施策)

第12条 町は、第1条に規定する目的を達成するため、基本理念に基づき、次に掲げる基本的施策の策定及び推進に努める。

(1) 経営基盤の強化及び経営の革新の促進を図ること。

(2) 地域資源を活用した新たな技術及び事業の開発の支援を図ること。

(3) 創業の支援及び事業の承継の円滑化を図ること。

(4) 知識及び技能の向上等のための人材育成及び雇用の安定を図ること。

(5) 資金調達の円滑化を図ること。

(6) 販路拡大のための積極的な広報活動及び異業種交流を図ること。

(7) 地域社会の発展及び町民生活の向上に寄与する小規模・中小企業者の活動の活性化を図ること。

(8) 学校教育における児童、生徒及び学生の勤労観及び職業観の育成を図ること。

(9) 町が発注する工事、物品購入、請負等における小規模・中小企業者の受注機会の増大を図ること。

(10) その他小規模・中小企業者の振興を図ること。

2 町は、前項の基本的施策の策定に当たっては、第2条各号に定める者の意見を聴取し、小規模・中小企業者の実態を把握するよう努める。

(財政上の措置)

第13条 町は、施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(小規模・中小企業振興会議)

第14条 町長は、小規模・中小企業者の振興のための施策の実現に向けた取組に関し、必要な事項を協議するため、大口町小規模・中小企業振興会議(以下「振興会議」という。)を置く。

2 前項に定めるもののほか、振興会議の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が規則で定める。

(条例の検証)

第15条 町長は、必要に応じてこの条例の内容について検証するものとする。

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(大口町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 大口町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和36年大口村条例第2号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

大口町小規模・中小企業振興基本条例

令和元年12月24日 条例第61号

(令和元年12月24日施行)