所信表明

所信表明

令和3年 鈴木町長 三期目 所信表明

令和3年11月30日に開催された、令和3年第9回大口町議会定例会における、町長のあいさつです。

データは、こちらをご参照ください(PDF 27KB)

1.はじめに

 議長さんのお許しをいただきましたので、3期目の町政運営にあたって、私の所信を申し述べさせていただきます。

 私は、去る10月24日執行の大口町長選挙に立候補させていただき、引き続き、町政の舵取りを任せていただくことになりました。応援をしてくださった皆様方には感謝を申し上げるとともに、町政発展のため、全身全霊で取り組んでまいる決意を、新たにしたところであります。

 また、議員の皆様並びに町民の皆様方には、今後の4年間におきましても、格別なる御理解と御協力を賜りますよう、衷心よりお願いを申し上げる次第でございます。

 さて、昨年来の新型コロナウイルスの影響で、我々は、これまで普通に続けてきた暮らしや生活スタイルの見直しを迫られ、新たな生活様式への転換を余儀なくされました。ウィズコロナ時代を生き抜くためのウイルスとの戦いは、多くの不自由さが求められますが、この機会を、これまでの慣例を見直すチャンスと捉え、より豊かな暮らしの実現に向けた足掛かりとすべき、「チェンジのとき」かもしれないと思っています。

 大口町の人口ビジョンでは、将来にわたって緩やかな人口増加傾向を予測し、2025年は24,500人、2040年は25,900人程度の人口を見込んでいます。しかし、人口減少社会、超高齢社会への移行は、大口町においても無縁ではありません。むしろ、人口増加傾向にある今こそ、時代の変化に先んじた的確な変革を重ねていかなければ、未来を担う子どもたちの将来に、大きな影を落としてしまうのではないかと危惧しています。

 安全・安心なまち、そして、豊かな暮らしを実現するために、限られた財源の中で、効率性の追求と、災害などの危機事態にも、柔軟に対処できる「冗長性」をあわせ持った町政運営を、議員の皆様と一緒に考え、進めて参りたいと思います。

2.若い世代の定住・子育て支援

 それでは、第7次大口町総合計画で示す「まちづくり戦略」の3つの柱をベースに、今後の4年間で、特に力を入れて取り組んでいきたいものを述べさせていただきます。

 一つ目の柱は、「若い世代の定住・子育て支援」です。
 大口町には、特産品もなければ観光地もありません。「日本さくら名所100選」に選ばれた五条川の桜並木も、岩倉市内を流れる五条川が、桜の名所として取り上げられます。私は、町内各団体の皆様方が、草刈り等に、献身的にご尽力をいただいている大口町の五条川桜が、どこよりも素晴らしい桜並木ではないかと思っています。

 大口町は、傍から見れば、特色のない「まち」に映るかもしれません。しかし、実際に生活していく上で、特に不便さを感じることはありませんし、実際に、令和2年に実施した住民アンケートでは、住みやすさを感じている町民の割合は、93.2%を占めています。賃貸住宅建設大手の企業が発表している「街の住みごこちランキング2021」でも、大口町は、東海4県で19位にランクインされており、大口町の程よい田舎具合が、住みやすさ、 暮らしやすさにつながっているのではないかと感じています。
 この、ほど良い田舎具合は、自然とのふれあいの入り口であり、子どもの成長過程において、好影響を与えるものと確信しています。これこそが、大口町の魅力であり、強みではないでしょうか。
 そこで、若い世代の方々が、この大口町で子育てがしやすいよう施策を充実してまいります。

 一つ目は、町内企業で働く方の移住定住を促進するための補助と、親との近居・同居を支援する(Uターン)補助を継続して、定住につながる施策を総合的に進展させることです。労働人口である若年層の増加と、出生者数の向上を目指し、全体的にバランスのとれた人口構成を実現していきたいと考えています。

 二つ目は、産前産後の母子に対する保健事業の充実です。特に産後の数週間は、環境や体調の変化が著しいため、心と身体の不調が表れやすく支援が必要です。産後サポート事業として、現在、医療機関に委託している「宿泊型」のサポート以外にも、母子が必要とする支援の拡充に向けて、幅広に検討を進めてまいります。

 三つ目は、経済的な理由などで高校進学を躊躇している子どもたちの力になれるよう、就学支援制度を充実させるとともに、基礎学力の向上につながる学習支援を行い、子どもたちが将来に夢を持てるよう、お手伝いをさせていただきたいと思っています。

 四つ目は、学ぶ環境の整備です。西小学校校舎の大規模改修を行い、安全で快適な学校生活が送れるようにしてまいります。また、給食センターの調理設備の更新とあわせて、建物改修も実施します。

3.健やかな暮らしづくり

 次に、二つ目の柱、「健やかな暮らしづくり」です。
 新型コロナウイルスの発生により、私たちがこれまで、何気なく暮らしてきた日常は一変し、マスクに手洗い、消毒、3密回避といった感染防止行動の日常に変わってしまいました。この不自由な暮らしの中でも、いつまでも健康で、生き生きと暮らし続けていける社会の実現を目指して取り組んでまいります。
 その一つは、新型コロナウイルスへの対策です。
 ワクチン接種に関しては、始まった当初は、国からワクチンの配分量が少なく、ご予約の電話がなかなかつながらず、大変ご迷惑をおかけすることになりましたが、ワクチンが順調に届くようになってからは、議員皆様のご理解をいただき、対象者を限定しながら、優先接種を進めさせていただきました。
 その結果、11月15日現在で、12歳以上の接種対象者の89%が、接種を完了いたしております。
 今後、医療関係者には12月から、一般の方には年明けの2月から、3回目のワクチン接種が開始される予定となっていますが、年末年始を挟んで人流の増加に伴い、第6波の到来が懸念されます。
 重症化予防とともに、この感染者数の波を、少しでも小さなものとなるよう、感染予防の徹底とワクチン接種の加速化に、全力で取り組んでまいる所存です。
 また、飲食店等を営業されている方々には、営業時間の短縮や酒類の販売自粛など、これまで大変なご協力をいただきましたので、こうした方々の労苦に報いるよう、経済の好循環につながる施策も実行してまいりたいと思います。

 二つ目は、健康寿命の延伸です。健康で暮らせることは、何物にも代えがたく幸せなことであると思います。
 高齢者の方々が、住み慣れた地域で、安心して暮らしていけるように、地域自治での活動や生涯学習活動による生きがいの実感、サロン活動などの集いの場の充実、既存施設を活用した高齢者への「健康づくり」の取り組みを発展させたいと思っています。
 そのためには、高齢者の方が、安心して外出できる交通環境を整えることも大切です。
 歩道の新設や歩車道分離などの道路工事や危険個所の改修、防犯灯の設置などで、歩行者などが安心して通行できるようにしていくことで、高齢者の健やかな暮らしにつながっていくものと信じており、こうしたことも勘案しながら、道路整備事業にも注力してまいります。

4.活力ある産業づくり

 最後に、三本目の柱、「活力ある産業づくり」です。
 現在の大口町の豊かさを築いてくださったのは、昭和30年代に、地域を挙げて、積極的に企業誘致を展開された先人たちのご努力によるものであります。この豊かさを、持続可能な財政基盤として、将来世代に引き継いでいくには、さらなる施策の展開が必要不可欠です。
 また、これらすべての財産を、子や孫たちに残してやることが、現世代に生きる我々の責務であるとも思っています。
 このため、既存の商工業の振興はもとより、起業される方への支援や、新たな企業誘致を促進して、有効な土地利用と、盤石な財政基盤の構築につなげていきたいと考えています。
 一方で、このまちの魅力である「ほどよい田舎具合」を残していくことも重要です。初めにお話したとおり、自然とのふれあいは、子どもの成長過程に大切なものですし、農地を保全することは、食料自給のみならず、景観の美しさや、急激な降雨時の貯水機能を果たすなど、多面的機能を持った有効資源であります。この有効資源を保全していくには、担い手を確保することが求められますが、後継者不足の中で、個々に経営を拡大していくのは限界があり、町農業の将来を鑑みると、法人化による経営選択は、避けて通れない問題だと認識しています。
 このため、町といたしましても、農業法人の設立を推進するとともに、一定の支援を継続的に実施していきたいと考えています。

 次に、にぎわいの場の創出です。
 大口町には、町内に3か所の大規模店舗があり、食料品や生活雑貨、衣料品から医薬品まで、日常生活を送っていくには、十分な商業施設であると思っていますし、今の大口町を支える、なくてはならない施設であると思っています。
 現在は、コロナウイルスの感染拡大防止のため、人と人との距離を置くことが求められていますが、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えて、商業施設や小規模店舗の方々の英知もお借りしながら、まちの活気を呼び起こすための新しい「にぎわいの場」の創出を、皆様と一緒に検討していけたらと考えています。

5.おわりに

 以上、私の町政運営に対する所信をお聴き取りいただきました。
 ただいま申し述べました施策を、一つ一つ実現可能なものにしていくには、議員の皆様方をはじめ、住民の皆様方のご理解・ご協力がなければ、一歩も前へ進めることはできません。そのためには、開かれた行政運営はもとより、町民の皆様方の声に耳を傾けながら、一人でも多くの方々に、ご理解をいただく努力を重ねてまいることが重要と考えています。
 しかしながら、50年後の将来を見据えたときに、場合によっては、住民の皆様に痛みを伴う改革をお願いすることもあるかもしれません。その折には、誠心誠意、丁寧な説明をさせていただきますが、ゆるぎない信念をもって、決断してまいる所存です。

 私はこれまで、町長として2期8年務めさせていただきました。それぞれ1期4年間の任期の中で、その時々の問題に対して、先送りすることなく、町長としての「答え」を出してきたつもりです。今期の4年も、また、その覚悟で臨みます。
 2025年までを計画年とした、第7次大口町総合計画の実現に向けて、力の限り、精いっぱい務めさせていただくことをお約束し、私の3期目にあたっての所信とさせていただきます。

令和3年11月30日
大口町長 鈴木 雅博

更新日 2021年12月3日