平成26年度施政方針

平成26年度施政方針

平成26年度施政方針

 

1.はじめに

それでは、議長さんのお許しを頂きましたので、平成26年度当初予算の提案にあたりまして、町政運営の基本方針を申し上げます。
議員の皆様方を始め、多くの方々のご支援を賜り、昨年11月から町長という重責を担わせて頂くことになり早、4か月が過ぎようとしています。
これまで、いち町民、いち企業人として、外から大口町政を見てきた私にとって、見るモノ、聞くことの多くが初めてであり、戸惑いの連続でありましたが、皆様方に様々な場面でお力添えをいただき、この4か月間、勤めることが出来ました。
この場をお借りいたしましてお礼申し上げます。ありがとうございました。
またこの間、選挙に始まり、まちに関わる多くの方々とお話をする機会をいただきました。皆さんが熱い想いを持って様々な分野でご活躍頂いていることに、町政を預かる身として、その想いに応えたい、応えなければならないと、身の引き締まる思いであります。
こうした中、平成26年度は、いよいよ、私が皆さま方にお約束した事項について、着手する初年度となります。
初めて迎える当初予算編成ということもあり、部課長に、これまでの施策の方向性や取り組みを確認すると共に、私の想いや経験を伝え、協議を重ねて、施策方針の策定や予算の編成を行いました。
特に予算編成に当たっては、総務部長が、経営計画策定方針を示し、合わせて各部長に、一般財源を枠配分する手法を取り入れ数年が経過して、概ね定着していると聞いておりましたが、中央公民館の耐震や小中学校のパソコンの更新などの大きな事業が重なって、各課の予算要求段階では約12億円の財源不足に陥っていた時期がありました。
 大口町は財政豊かなまちだという認識がありましたので、かなり驚いたわけでありますが、その内容を聞いて参りますと、やはり、税収を上回る勢いで、福祉関連経費が増加していることが、大きく影響しているのだと認識をいたしました。
 こんな時、会社であれば、事業を取捨選択して次に備えることになりますが、行政は町民の皆さんの生活に直結する施策が多くあります。税収の増減によって事業を取捨選択するわけにいかず、これまでの諸先輩方が取り組んでこられた安定した行財政運営の難しさを実感したところであります。
そして、部課長をはじめ、職員自らが考え、事業の調整と特定財源の確保に努めた結果、本日ここに、一般会計82億円、8特別会計42億9,679万1千円、総額124億9,679万1千円の、平成26年度当初予算を上程させて頂く運びとなりました。
 外から行政を見ていた時、職員の皆さんの動きがよく分からなかったわけでありますが、一緒に仕事をしてみると、町民の皆様の生活に深く関わりつつも、普段はなかなか評価されることのない公務を担う職員の姿を見るにつけ、吉田茂首相が防衛大学の1期生の卒業式で訓示したとされる、
 
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと、非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労だと思う。
しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃され国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し、国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日蔭者である時の方が、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」

という、言葉の偉大さ、尊さを改めて認識したところであり、私が今、負託を受けている町政にも通ずるものだと実感しました。
 これからも、議会の皆様方のご理解とご協力を賜りながら、職員の皆さんと共に、住民福祉向上のため、まい進して参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2.平成26年度行政運営の基本方針

次に、平成26年度の行政運営方針であります。
上程させて頂きました、当初予算案の内容、特に新規事業等につきましては、後ほど、所管担当部長より説明をさせて頂きますので、私はその基本的な考え方について申し述べたいと思います。
国においては、政権による経済政策が功を奏し、大企業においては、賃上げの機運が出始めるなど、景気回復の訪れが感じられるようになって参りました。
しかしながら、この波は、国民の約7割が勤める中小企業にまで及ぶには今しばらく時間を要することとなるはずで、まだまだ、本格的な景気回復とは言い難い状況にあると言えます。
我が町「大口町」には大企業がいくつも立地し、近隣市町からうらやまれる豊かな財政基盤に恵まれていますが、これは私が今更申し上げるまでもなく、先人の高い志の下、先を見越した慧眼、知恵や決断など、献身的な努力、取り組みによって築き上げられたものであります。
今の大口町を託された我々は、その先人の高い志に敬服すると共に、さらに暮らし豊かな大口へと、その「志」を未来に引き継いでいく責務があります。
人口も経済も右肩上がりであった時代に構築された様々な仕組みは、今まさに進みゆく超高齢社会や成熟した経済情勢の中で、このまま維持していくことが困難なことは明白であります。
そのためには、私達の未来を担ってくれる子ども達が、今と同じように「このまちに住んでよかった。」と思えるような50年後のまちを思い浮かべ、私は、その礎を築くために、私の持つ視点や経験、ネットワークを十分生かし、精一杯、様々な布石を打っていく必要があると考えており、私はそれを実行していく所存であります。

3.未来づくり

そこで本年度は、次の3点について取り組んで参ります。
まず始めに、土地利用及び道路網の見直しであります。
本町は、純農村で近隣市町から貧しさゆえに合併さえ拒否された逆境から、昭和30年代から工場誘致施策に取組み、合せて土地改良事業を推進することで、農工が調和したまちへの礎を形成し、都市計画道路もその当時に線引きをし、一部ではその用地をねん出しております。
先人は、現状を憂い、この町の輝かしい未来への夢を馳せながら、これらの事業に取り組まれたのではないかと思います。
 しかしながら、その土地利用形態は、50年経った今でも、大幅な見直しはなされていない状況にあり、将来を見据えて今一度、抜本的に見直しをする時期にあると考えております。
変化のスピードが非常に速い昨今にあって、50年先を見越すことは、非常に困難なことではあります。
その一方で、これらの取組はすぐに答えが出るものではなく、将来を見据えた計画に基づいて、着々と施策を積み上げることなくして、生活や産業基盤の整備は進捗しません。
そこで予算は伴いませんが、本年1月、若手職員による、未来の土地利用検討プロジェクトを立ち上げ、50年後に向けた土地利用計画の策定に着手しており、新年度には本格的に検証や検討を重ねて参ります。
なお、国道41号の6車線化につきましても、町民や町内に立地する事業所等の交通アクセスの改善、さらには、災害時における避難、物資の輸送ルート確保の観点からも、国道41号の6車線化と町内道路網の整備は不可欠でありますので、早期着手に向け国へ強く働きかけて参りたいと考えております。
二点目は、地域自治推進並びに防犯対策であります。
 本町はこの十数年来、協働のまちづくりに取り組んで参りましたが、その動きは、NPO活動から地域自治組織へと、これからの時代の行政運営の礎となる取り組みになっております。
 この動きは、ご近所づきあい等のコミュニティ形成や、防犯や防災対策、子どもやお年寄り、さらには育児中の保護者の見守りにも大きな力となるものであります。
 児童の通学の列に車が飛び込んだり通り魔事件が報道されているところでありますが、暮らしの安心安全は非常に大切であると考えております。
先ほども申し述べましたが、まちの皆様方が、自らの意思で考え決定し、そして実際の行動へと踏み出されている姿を随所で見させて頂く度、一朝一夕で成果が上がり確立されるものではないと実感しております。
町行政と地区の皆様方が一丸となって、試行錯誤しながら活動を継続して行かなければならないと強く感じるものであります。
 新年度につきましては、新たな予算措置や携わる職員の増員を講じ、さらには、協働という視点で、施策を構築し実施するよう努めて参ります。
 三点目は、豊かな暮らしづくりへの取り組みであります。
 高度経済成長やバブル崩壊、リーマンショック等を経て、我が国は成熟した社会へと移行しつつありますが、人々の豊かさへの価値観も同様に変化しています。私は、豊かさの原点にはやはり、「健康」があるのだろうと考えております。いくら物的に恵まれていても、人は健康な状態でなければ精神的な不安を抱え、楽しく暮らし生涯にわたって学び活動することは難しいのが現状です。
 従いまして、この数年来、健康づくりに医療保険担当が加わって取り組みを進めてきておりますが、限りある財源を有効に活用することで、新たな「予防」への取り組みに予算措置を講じております。
 なお、健康施策以外の豊かなくらしづくりという観点から、まずは、公共施設への再生可能エネルギー、太陽光発電施設の設置を検討して参ります。
設置や維持管理費、売電価格等、今後の太陽光発電を取り巻く環境を勘案し、補助金獲得へ向け取り組みを始めております。 
 

4.おわりに

 この他にも、行政には実に数多くの施策があります。
平成26年度の行政運営方針を職員と検討する中で、それぞれ目的や対象となる町民の方々の状況が違うことを学び、よく言われる優先順位についても、その線引きの難しさを痛感したものであります。
 先日も、復興支援で本町職員の派遣先となっている、宮城県南三陸町の町長さんが、お礼と来年度の派遣要望のためお越しになられました。
 その際、

「「復興が遅れている」「行政の取り組みが遅い」といった報道をよく耳にするが、被災者毎に置かれた状況が大きく違う。住宅再建をしたとしても、労働の場の確保が困難であれば暮らしは成り立たず、対応策に優先順位付けして集中的に実施することでは、それらのニーズに応えることはできず、結果として短期間で解決することは難しい。但し、復興に携わる者は、前よりもっともっと良いまちをつくって行きたい、それが、生き残った者の使命である」
と、お話しされました。まさに強い志であります。
何事も「志」が無ければ動き出すものではなく、また、継続も困難であります。
このまちの先人が今のまちの礎を築こうと立ちあがって尽力したように、私もまた、行政経験はないものの、将来を託す子ども達の50年後の大口町、その暮らしに想いを馳せ、懸案事項を解決するための取り組みと決断をするという、強い志を持っております。
私に不足する行政知識や経験を、議員の皆さまや職員に補って頂き、町民の皆様方と共に手を携え切磋琢磨し、活発な行政運営を展開することで、このまちの未来へ寄与したいと考えております。
議員を始めとする町民の皆様方の、いっそうのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成26年度の施政方針とさせて頂きます。 
 

平成26年3月4日
大口町長 鈴木 雅博

 

 

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更新日 2014年5月27日