平成23年度施政方針

平成23年度施政方針

1.はじめに

この一年間、議会の皆様方から就任当初と変わらず、事あるごとに様々な形でお気づかいやお力添えを頂いたことに、この場をお借りいたしまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。
それでは、議長さんのお許しを頂きましたので、平成23年度当初予算の提案にあたりまして、その概要と町政運営の基本方針を申し上げます。
昨年の予算編成は、就任間もない慌ただしい時でありましたが、今回は、さまざまなご意見や課題に直面することで新たな気づきを得た1年間であり、私なりに大口町の将来に思いめぐらす中で査定を行いました。

2.当初予算案の概要と経営計画の策定

こうした中で、本日、一般会計93億6千万円、9特別会計39億2,157万9千円、総額132億8,157万9千円の、 平成23年度当初予算を上程させて頂く運びとなりました。
今年度は、総務部長が経営計画書策定方針を示し、歳出予算枠ではなく一般財源枠を各所管部長に配分をいたしました。
このことにより、各部長が所管課長と予算協議を行った際に、施策の目的や優先順位のみでなく、事業や対象者の拡大に当たって、特定財源の確保まで、協議の範囲が拡がったと聞いております。
この枠配分方法は、職員が試行錯誤の中で築いた、手づくりの制度であります。運用に当たっては今後、様々な課題が出て来るとは思いますが、その都度、手を加え、その時々の情勢に即した運用をして参りたいと考えております。
また既に、4月人事異動の内示をしておりますので、新年度の経営計画書の確定作業と同時に、私のマニフェストに掲げた施策等の現況についても取りまとめを行うよう指示いたしました。その結果についても取りまとめが終了次第、何らかの形で公表して参ります。

3.平成23年度行政運営の基本方針

次に、平成23年度の行政運営の基本方針について申し述べます。
我が国の経済は、輸出関連企業に下支えされ、やや回復基調にあるとの報告がされていますが、輸出できる天然資源をほとんど持たない我が国は、やはり、農林水産業の再生や福祉サービス等の内需を中心とする、安定した経済成長を目指さなくてはならないと考えております。
なぜならば、北アフリカの政情不安が他地域へも拡がりをみせており、こういった要因で経済情勢が失速したり、これまで食糧や天然資源の輸出国であった国が消費国に転ずることで、安価で安定した資源の確保がいっそう難しくなる事態も想定され、いつなん時、我が国経済が打撃を受けるやもしれません。
さらに今、最も懸念しておりますのは、国及び県政が大きな変革の渦中にあり、予算査定において担当職員に尋ねると、いくつかの分野で、この先の展開は皆目見当がつかないといった声を聞くことであります。
各省庁の動向情報の収集に努める一方で、不測の事態に備えるよう指示はしておりますが、職員にとっては大変な負担であり、エネルギーの浪費でもあります。
さりとて、私共は、本町の行財政運営に責任を持ち、着々と遂行して行かねばなりません。事あるごとに、国県にはそういった懸念の意思表示をしつつも、昨年度に引き続き、第6次総合計画に示されている、「安全・協働・共生・公平・発展」を施策の視点として、精一杯、かじ取りを行って参ります。

4.平成23年度の施策体系とその内容

次に施策の体系であります。
本年も、第6次総合計画で示している4項目に基づき、本年度、取り組む代表的なもののお話しをさせて頂きます。

(1)人材育成


まず第1点目、新しい時代を担う次世代をはぐくむ、人材育成であります。人材は、どんな財にも勝ると言われ、私も非常に重要であると痛感しております。
平成23年度の主要事業は、次世代を担う児童・生徒の育成の舞台を整えようと耐震化と共に進めてきた、明日の学校づくり施設整備事業が、いよいよ最終局面となります。
町行政は、人材育成の舞台作りに責任を持ち、その運営は教育委員会にお任せをする、まさに二人三脚で教育行政を遂行して参りたいと考えています。
また引き続き、園児の主食代や児童、生徒の給食費を公費負担して参りますが、新たに幼稚園児についても、園児の主食代相当分を助成し、大口中学校において3年間、取り組んで来られました生涯学習施策の一環である学校支援本部事業を、小学校へも順次拡大するよう、組織体制の見直しを図ります。
さらに、職員が各々年間目標を定め、部課長が指導する人事評価制度の本格運用を目指し、人事給与面でのメリハリある処遇を実施することで、町民の皆様方の協働のパートナーとなる職員が、切磋琢磨しスキルアップすることをうながします。

(2)環境・生活・経済活動基盤整備


第2点目は、未来へ引き継ぐ環境保全とまちの活力を創造する、環境や生活、経済活動の整備であります。
この課題を解決することは非常に壮大なものであろうかとは思いますが、私は、それらとは一線を画して、常に身近な環境保全や基盤整備に取り組む必要があると考えています。
平成23年度の主要施策としては、可燃ごみの堆肥化実証実験を外坪地区において実施すると共に、これまでの全町農業公園構想を引き継ぐ施策や、遊休農地の活用施策を関連させて実施することを試みる、「農力造進事業」を立ち上げ、本町における新しい農業の形を追求したいと考えております。
また、中小企業の皆さんの中で、融資を受けられた方への保証料や利子に対する高い補助率の助成制度を維持すると共に、商工会で指導を受けられた小規模事業者の方への融資利子助成制度も新たに実施いたします。
なお、旧北小学校の跡地利用につきましては、新たにプロジェクトを設置し、全町的な視点での意見を伺い、その方針の検討を開始したいと考えています。

(3)安全と安心


第3点目は、健康で安心な暮らしと災害や犯罪などに強い社会を創造する、安全と安心であります。
経済成長と共に世の中の暮らしも様変わりをし、これまでの常識では考えられない、さまざまな危険が、日々の暮らし、人ぞれぞれの人生に潜むようになりました。
平成23年度は、健康推進施策と保険医療施策の連携強化、防犯灯の増設及びLEDへの更新を継続し、新たに、中高生の通学路の安全対策として、幹線道路に優先順位を付け、街路灯の充実を図ります。

(4)自治と協働のまちづくり


最後に第4点目、人の知恵・技・情報が活きる元気コミュニティを創造する、自治と協働のまちづくりであります。
本町はこれまで、参画と参加のまちづくりを掲げ、協働の精神を培いながら平成21年、まちづくり基本条例を制定いたしました。
現在、地域自治組織等の検討が、本年11月を目標に、取りまとめが熱心に行われており、町民活動支援センター機能の強化と伴に、新たな段階へと進むことを期待しております。
また、その中で、学習等共同利用施設の維持管理や一括交付金制度、さらには、防犯灯や不燃物集積場の在りよう等について も検討いただけると聞いております。
議員の皆様方にも、お地元でお力添えをいただきますよう、お願いするものです。

5.活かす

今、私達は、経済構造の変化の中で、本格化する少子高齢社会に向けた社会保障費を始めとする、行政需要の多様化、増大化を余儀なくされており、刻一刻と、危機的な状況が高まっています。
その困難な状況を乗り越えるためには、昨年も申し上げたように、決して倹約や事業縮小ではない、これまでの経験を組み合わせてアレンジし、そして、限られた税と人材、能力を最大限「活かす」ほか、手立ては無いはずであります。
例えば、皆様もお気づきのこととは思いますが、昨年来、五条川の堤防を雑草が覆っている区間が次第に短くなっており、この取り 組みは、河川管理者から高い評価を受けています。
これは「責任あるものにその履行を求める」姿から、「地域の我々にできることがあれば」という自発的な想いの現れと敬意を表する ものであります。
さらに健康生きがい課では、お年寄りを地域が見守る仕組みづくり、福祉こども課においては、地域が子育て中の保護者の方との 触れあうきっかけとなる、ドア・ノッキング事業に着手する予定であります。
いずれも、大口町10年来の「協働の精神」による取り組みで培われた人材と経験、まちづくり基本条例という、住民と企業、行政が 共にまちの未来を担うという約束事があるからこそ、こうした事業において、着実に歩みを進めることができるものと考えています。

6.おわりに

住民も議会も我々、行政組織の構成員も、願うことはただ一つ、「住民の福祉増進」であります。
議論が混とんとした時には、皆様に十分な情報提供はなされているか、既得権や体裁にこだわっていないか、課題の本質は何で あるかを徹底的に議論する必要があると思っています。
私はこれからもいっそう、町民及び議会の皆様方に、現在、直面している課題の本質やその情報を、職員と共に積極的にお伝えし、 解決に向け皆様方と話し合って、先送りすることなく決断していきたいと考えています。
我々には、今の世を、少しでもより良い形にして次世代に引き継ぐ、責務があります。議員を始めとする皆様方の、いっそうのご理解 とご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成23年度の施政方針とさせて頂きます。

平成23年3月3日
大口町長 森 進

作成日 2012年3月9日