平成28年度施政方針

平成28年度施政方針

平成28年度施政方針


1.はじめに


 それでは、議長さんのお許しを頂きましたので、平成28年度当初予算の提案にあたりまして、町政運営の基本方針を申し上げます。
 町長就任より、2年余りを過ぎまして、この間、議会の皆様方には、様々な形でお力添えをいただきましたこと、この場をお借りしまして、厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
お蔭さまで、任期の半分を折り返すことが出来ました。
町議会の皆様方をはじめ、地域において様々な場面でご活躍をいただいております、皆様方のご協力によるものと感謝いたしております。
 町長として、見・聞き・そして学んできましたことと、人生経験の中で蓄えてきました知識をあわせて、今後の町政運営に反映させて行きたいと考えているところであります。
平成28年度の当初予算につきましては、総務部長が、経営計画策定方針と各部毎の一般財源配分額を示し、部課長は、担当職員と事業の振り返りと見直し、さらには特定財源の確保に努め、本日ここに、一般会計80億5,000万円、8特別会計48億2,985万8千円、総額128億7,985万8千円の予算案を上程させていただく運びとなりました。

2.平成28年度行政運営の基本方針


 予算案の内容につきましては、所管部長より説明をさせて頂きますので、私は、行政運営の基本方針について申し述べます。
 平成27年度中に策定する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中で、2060年までの人口推計を行った結果、本町では、2035年頃に人口のピークを迎え、その後は徐々に減少すると推計しております。
 国全体は、既に人口減少の時代に突入しており、近隣でもいくつかの市町が人口減少に転じていますが、本町におきましてはいま少し時間的な猶予があるからこそ、今から超高齢社会へ備え、対応を始めなければならない課題だと考えております。
 こうした課題は、本町だけの努力では解決できませんが、臆することなく検討し、方針を示して立ち向かっていかなければならないと、意を新たにするところであります。

 また昨年は、大口町を出生の地とする堀尾吉晴公が繋ぐご縁により、島根県松江市との姉妹都市盟約の締結に至りました。
 遠く離れたふたつの市と町をつなげる、本町にとって初めての姉妹都市提携であります。
 これまで交流を重ねてみえた関係各位の熱意とご努力とがあってこそと、心より敬意と感謝を申し上げるものであります。
 こうした住民の皆様のお力は、今後の大口町における、より豊かな暮らしの実現を目指す行政運営に不可欠であると考えております。
 皆様方のご理解とご協力を賜りますよう、あらためてお願い申し上げます。


3.第7次総合計画のはじまり


 さて平成28年度は、この議会にも上程させていただきました、第7次総合計画のスタートとなる年度であります。
 基本構想は、第6次の総合計画で目指してきた、まちの将来像やまちづくりの理念を継承する一方、第6次総合計画とは異なり、基本計画を策定し、個別の施策やその目標、実施方法を明確にし、数値化できるものは、目標値として示しています。
 これによって職員は、より具体的に施策の目的等を明確に意識してその執行に当たることができるものと期待しています。
 さらに人口減少と超高齢社会を見据え、いずれ顕在化してくる課題に先んじて、より戦略的に対応するため、3つの視点から「まちづくり戦略」を示しました。
 ここで、その戦略について申し述べさせて頂きます。
 はじめに「若い世代の定住・子育て支援」であります。
 町内には、多くの企業があり、そこには、毎年多くの若者が就職されます。その中でいくつかの企業では、社員寮などもお持ちであり、他の市町村から大口町へ移り住んでお仕事をされている若者がたくさんおみえになります。これらの若者が、いよいよ結婚等により新たに住居を構えるような時に、他の市町村に移られる方もおられます。 
 もちろん、様々な選択肢があろうかとは思いますが、そういった若者には是非、そのまま大口町内で生活を営もうと思っていただけるよう、生活環境、子育て環境、生涯学習環境等を充実したいと考えています。 
 財政運営は厳しさを増して参りますので、知恵を絞り、皆様方のお力添えを賜りながら、事業構築とその実施に努めて参ります。
 次に「健やかな暮らしづくり」であります。
 医療技術の進歩などにより日本人の平均寿命は延び続けておりますが、やはり、普段の生活を、健康でいかに長く続けられるか、ということが大切であり、健康寿命をいかに延ばすかが、今日の課題となっています。
 そのためには、お年寄りが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、家族や地域で支えるという考え方が非常に重要であり、それはまさしく行政だけの力ではいかんともしがたいものであります。
既にいくつかの地域では、自主的に高齢者の居場所づくりを進めておみえです。
 それは、そこに集まる高齢者の皆様が、健康体操や趣味の活動を通して地域とつながり、安心して、より健康で長生きできる地域社会の実践活動であります。
 この様な活動は、より豊かな超高齢社会への対応策として非常に大切な取り組みであると確信しております。
 今後も、このような地域活動が、より広範に、そしてより活発になりますよう、今以上に職員も参加するなど、行政として積極的に連携して行ければと考えております。

 3つ目は「活力ある産業づくり・安定した雇用の創出」であります。
 大口町は、財政的に恵まれたまちでありますが、これは、先人のご努力によるものであり、今の時代に生きている我々は、この豊かさを次の世代に引き継いでいかなければなりません。
 しかも、ただ引き継ぐだけではなく、より安定した、より持続可能な財政基盤とする責務があるものと考えています。
 そのためには、既存産業の振興はもちろんのこと、新たな産業の立地誘導といった戦略が必要です。
幸いにもこの尾張北部の地域は、既存の自動車産業に加え航空産業、さらには宇宙産業分野でも注目度が上がっており、こうした地の利を活かした発展が望める地域でもあります。
 豊かさを手に入れるために先人が払った多大なご苦労にならい、我々も、住民と行政が一体となって、多くの汗をかき、子ども達が未来に夢や希望が持てる社会を実現していかなければなりません。

4.おわりに

 
 先般の新聞報道にもありましたように、法人住民税の一部国税化によりまして、本町においても非常に大きな税収減の時代を迎えることになりそうです。
 段階的な税率改正ではありますが、平成29年度の改正が実施されると、平成30年度には、平成26年度実績と比較して法人町民税は約半分に落ち込むことになります。
 示されている制度改正や、減収分は地方債等で対応して貰いたいと言った発言を受け入れることはできませんが、過疎地や山間へき地の状況を考えれば、地方の税収の偏在是正には一定の理解も必要だと受け止めています。
 大相撲初場所において、日本出身の力士として10年ぶりとなる幕内優勝を果たした琴奨菊関がその時の優勝インタビューで「優勝への重圧は?」という問いに次のように述べています。
 「やるべきことをしっかりやって、勝ち負けよりも自分の決めたことをやりきるという気持ちを持って土俵に上がった。そして結果が出た。」と。
 これは、これから超高齢社会や厳しい財政運営に向き合わなければならない我々に、なすべきことを示唆しているのではないでしょうか。
 自主自立の誇りを胸に、様々な難題に真摯に向き合い、裕福なまちと言われてきた意識を捨て、皆が利害を乗り越え、日々怠りなくまちの存続策を模索し実践を重ねること。そこから知恵を授かり自信も生まれるはずです。
 先人は、昭和の大合併の流れの中で、村の消滅という窮地に際し、想いと決断、行動によって乗り越え、豊かなまちの礎を築きました。
 我々には、そして、このまちには、そのDNAが宿っています。
 議員を始めとするまちの皆様方と想いを一つにし、いっそう手を携え、「輝く水と緑、元気な暮らし広がる、自治のまち」の実現に向け、その礎を築いていくことをお誓い申し上げます。
 結びに、皆様方のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成28年度の施政方針とさせて頂きます。

平成28年3月2日
大口町長 鈴木 雅博
更新日 2016年3月2日