平成25年度施政方針

平成25年度施政方針

平成25年度施政方針

 

1.はじめに

それでは、議長さんのお許しを頂きましたので、平成25 年度当初予算の提案にあたりまして、町政運営の基本方針とその概要を申し上げます。
はじめに、この一年間、議会の皆様方には、事あるごとに様々な形でお気づかいやお力添えを頂いたことに、この場をお借りいたしましてお礼申し上げます。ありがとうございました。
また、昨年4月1日、本町は町制施行50年を迎えこの一年間、推進委員を始め多くの皆様方に、ご理解とご協力を賜り、大口町らしい手づくりの事業で盛り上げて頂きました。
皆さまのご尽力に深い敬意と感謝を申し上げるものであります。
今後につきましても、いっそう、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
さて、平成25 年度は、私が町長の重責を担わせていただいてから4年目、一つの節目の年を迎えることになります。
この間、国においては2度にわたる政権交代があり、様々な制度改正が行われるなど、その対応に苦慮したところではありますが、本町の羅針盤である第6次総合計画を指針とし、住民の福祉の増進を切に願い、かじ取りを進めてまいりました。
今回の予算編成につきましては、節目の年を迎えることから、幹部職員やグループリーダー等と、これまで展開して参りました施策について、目的の確認や成果を確認し、その将来像について協議を重ねた上で、措置したものであります。

2.当初予算案の概要と経営計画の策定

こうした中で、本日、一般会計71 億円、8 特別会計41 億4,723 万1 千円、総額112 億4,723 万1 千円の平成25 年度当初予算を上程させて頂く運びとなりました。
予算編成に当たっては、今年度も、総務部長が、経営計画策定方針を示し、合わせて、各部長に一般財源を枠配分いたしました。
「経営計画の策定が新年度に向けた取組の第一歩である」とした仕組みを始め3年目、一般財源を各所管部長に枠配分する手法を取り入れてから2年目ということもあり、概ね定着してきていると感じております。
その結果、担当者による調整や総務部長査定では、経営計画書を基にした、施策目的や手法の確認、さらには、所管を超えた施策間の調整等に、より時間を費やせたと聞き及んでおります。
この枠配分手法は、職員の手作りの制度であることから、改善の余地は多々あるとは思いますが、それゆえ、職員がその都度、手を加え、改善することができるものであります。
経営計画がより一層、各施策の方向性を表し、職員一人ひとりが所管外の施策にも意識を持ちながら、担当する施策に取り組んでいく、そんな意識の醸成に努めて参りたいと考えております。

3.平成25年度行政運営の基本方針

上程させて頂きました、当初予算案の内容につきましては、所管担当部長より説明をさせて頂きますので、私は、行政運営の基本方針について申し述べます。
国においては、3年ぶりに政権が交代し、これまで進められてきた地域自主戦略交付金は廃止され、自治体の裁量を制限する各省庁の補助金が復活する等、大幅な見直しが進められています。
また、新政権が示す成長戦略等への期待感から、円高傾向に歯止めがかかり、ここ最近の円安・株高の動きは、自動車業界をはじめとする輸出関連企業の業績を好転させ、エネルギーや製品などの輸入関連では円安が逆に作用するものの、日本経済全体としては、やや回復の兆しが見られるとの報告がなされています。
こういった急激な動きは、変革、改革といった言葉で表され、耳触り良く概ね歓迎ムードではあるものの、自らの暮らしに影響が出る場合は違った反応になる場合があります。
従って、市町村行政運営を預かる者としては、変化、改革によって起き得る影響を最大限、想定をしながら、着実に施策を遂行していかなければなりません。
そのためには、国等における様々な制度改正の情報の収集に努めながら、第6次総合計画に示されている「安全・協働・共生・公平・発展」を確かなまちづくりの尺度として、精一杯、かじ取りを行わなければなりません。

4.平成25年度の施策体系とその内容

次に施策の体系であります。本年も、第6 次総合計画で示している四項目に基づき、本年度、主な取り組みについてのお話しをさせて頂きます。

(1)人材育成

まず第1 点目、新しい時代を担う次世代をはぐくむ、人材育成であります。人材は、どんな財にも勝ると言われ、私も常々、人材の重要性を感じているところであります。
次世代を担う児童・生徒の育成の舞台を整えようと、耐震化と共に進めてきた、明日の学校づくり施設整備事業は一区切りを迎えました。
平成25 年度は、大口中学校と西小学校で、天井材や外壁などの非構造部材耐震調査を実施するとともに、この整備された舞台で子どもたちが光り輝けるよう町行政と教育委員会が密に連携し、教育行政の充実を図って参りたいと考えております。
また、「保育の質」の向上を目指し、平成26年4月から中保育園を民営化する予定でありますが、今年度はその移行期間として、移管先の社会福祉法人と共に保育業務を行い、施設面でも外壁塗装工事を実施いたします。この他にも、南保育園の空調機設備の改修や、西保育園の未満児保育を充実するための施設改修を実施します。
さらに、行政の運営体制につきましても、類似団体の定員管理数値と現状の業務を見極めながら、懸案事項に対応する組織改革によって、町民の皆様方の協働のパートナーとなる職員が、より切磋琢磨し、スキルアップすることを促せるよう、取り組んで参ります。

(2)環境・生活・経済活動基盤整備

第2 点目は、未来へ引き継ぐ自然環境保全とまちの活力を創造する、生活環境、経済活動の整備であります。
この課題を根本的に解決するには、国家的な取り組みが不可欠であろうと考えておりますが、本町規模でも可能な取り組みとして、五条川や田畑、ごみ減量などの環境保全や道水路等の生活基盤整備、さらには、商工会と共に、町内企業や個人事業主の方々への経済支援策等の検討にも、取り組んで参りたいと考えております。
具体的には、町のシンボルである五条川の桜並木を次世代に引き継いでいくため、五条川堤桜保存事業を継続していくとともに、昨年度策定した舗装修繕計画を基に社会資本整備総合交付金を受け、道路舗装の修繕を実施していくための準備をして参ります。
また、町内企業の生産活動を町内で促進して頂くことで雇用の維持拡大を図る、町内企業再投資促進補助金制度や、中小企業の皆さんの中で融資を受けられた方への保証料や利子に対する助成制度を継続して参ります。
さらには、重要かつ緊急的な行政課題に対応する組織として、産業推進室を新たに設け、農業からサービス業まで、さまざまな産業をきめ細かく支援するような取り組みや、農業を6次産業化することで雇用創出する、そんなことを目指した企画を行って参ります。

(3)安全と安心

経済成長と共に世の中の暮らしも様変わりをし、これまでの常識では考えられない事件や経験を超える災害に見舞われる場面に遭遇し、町民の皆様の暮らしをどう守ってゆくのかと、危惧しているところであります。
平成25 年度は、昨年度から引き続き、社会資本整備総合交付金を受け、防災行政無線設備の更新や避難所備品、積載車の整備、さらには、東海、東南海、南海地震等の被害想定も変更されたことから、東日本大震災を教訓として、災害時の対応をより現実に即したものとするために、地域防災計画の見直しを行います。
さらには、高齢者を地域で見守り、支え合う意識を醸成するため、昨年度に引き続き高齢者地域見守り支え合い事業を展開して参ります。
また、健康推進施策と保険医療施策を連携させて進めております、2万人元気計画を継続する中で、本町の健康づくり計画である、「健康おおぐち21」の第2次計画を策定します。
災害への備え、健康増進など、いずれも行政の力のみでは微力でありますので、町民の皆様と協働の精神で、効果的な事業となるよう進めて参りたいと考えております。

(4)自治と協働のまちづくり

最後に第4 点目、人の知恵・技・情報が活きる元気コミュニティを創造する、自治と協働のまちづくりであります。
本町は十数年にわたって、行政理念として揺るぐことなく、参画と参加のまちづくりを掲げ協働の精神を培ってまいりました。平成25 年度は、これまで十年来続けてきた協働事業の取組を、再点検し、町民、企業、行政の役割を組み合わせたうえで、より良い事業展開に努めて参りたいと考えております。
また、一昨年11 月に提出された地域自治組織等の提案に基づき、いよいよ新しい地域自治組織が設立される予定であり、新たな展開を迎えます。
まちづくり基本条例に基づき、町民、企業、職員が役割分担しながら一体となった取組みを展開して参りたいと考えております。

5.活かす

言い古された感もありますが、人口も経済成長も右肩上がりの時代に構築された仕組みは、人口減少と超高齢社会、成熟した経済情勢の中で立ち行かなくなってきていることは明白で、子育て支援や社会保障財源の確保等、今しばらく行政需要は多様化、増大化の傾向が続くと予想されます。
就任以来、一貫して申し上げているように、この困難な状況を乗り越え、次世代へこのまち、この暮らしを引き継いで行くためには、倹約や事業縮小のみの視点ではない、人材を始めとする、限られた「財」と経験から導き出された「知恵」をつなぎ合わせてアレンジし、それぞれの能力を最大限「活かす」気持ちで、取り組み続けるしか、手立ては無いはずであります。
例えば、旧北小学校跡地利用検討プロジェクトでは、市街化区域内にある広大な敷地、「資産」を如何に有効に活用できるか、施策の検討段階から議会のお力添えをいただき、議員の皆様と職員がともに「知恵」を出し合い検討していただいたものであります。
議会と行政がともに施策検討するという、新たな形が生み出せたものと感謝しております。
このように、施策の検討段階から情報を積極的にお知らせし、皆に参加を呼びかけることで、まちの皆様から「知恵」をお借りでき、より良い施策、新たな施策展開が可能になるものと考えております。
以前は、ボランティア活動と言えば、福祉分野やイベントの運営補助が大半でした。
しかし、十数年にわたる、自立と共助のまちづくりの取り組みにより、皆様も既にお気づきのこととは思いますが、その活動分野は、交通安全や防犯、学校や子育て支援、草刈等の環境保全や被災地支援活動、さらに、それらの活動を支援する活動など、本町は小さな町ではありますが、実に、多くの活動が立ち上がっています。
これは、何かをきっかけとした「我々にできることがあれば」という自発的な想いと、取り組みから何らかの達成感を得て、次の行動へとつながっていく、そんな想いの輪が、まちの暮らしに拡がりをみせているものです。
そういった想いと行動力に敬意を表するとともに、大口町は小規模ではありますが、小さなことはマイナス面ばかりでなく、例えば、何か事を起こそうと思えば、直接顔が見え、声が聴くことができます。
職員にはまちの皆さんの想いをしっかりと受け止め共有し、そして一緒にその舞台で時間も共にして貰いたい、町民の皆さんと向き合う姿勢を継続することで信頼関係が生まれ、結果として、町民のパートナーたる職員となり、皆様からお預かりした税を有効に活用させて頂くことが可能になるのではないかと考えております。

6.おわりに

東日本大震災から、3月定例会中に2年を迎えることとなります。
報道等での情報は次第に少なくなってきていますが、がれきの撤去や処理には目途が立ちつつあるものの、復興への取り組みはまさにこれからであります。
本年度は、本町職員2名が半年ずつ1年間、南三陸町の教育委員会で勤務して頂きましたが、平成25年度においても、職員1名が1年間、勤務予定であります。私達は、被災地の暮らしが一日も早く落ち着くことを祈りながら、東日本大震災の教訓を忘れることなく、日々の暮らしに反映させつないで行かなくてはなりません。
この2年間、幾度となく現場に立ち、色々な方のお話を伺ううちに、やはり、人であり、人の心、人のつながりはかけがえのない財産であり、危機を乗り越えていく力もやはり、人であり、人の心であり、人のつながりなのだという認識をより強く持ちました。
そして私は、まちの中で自らの興味や意志で思い思いの活動に携わっておられる方々を拝見する度に、モノやお金、物質的な損得を超えて動かれる姿に感動を覚えております。
今の大口町の豊かさは、先人が逆境に不屈の精神と努力で立ち向かった賜物であり、これから未来は、我々の力によって築き上げられるのです。
我々は、今の世を、少しでもより良い形にして次世代に引き継ぐ責務があり、私はそのために、町民や議会の皆様方に、課題の本質や情報を飾らずお伝えし、解決に向けて協議するとともに、先送りすることなく決断していきたいと考えています。
議員を始めとする皆様方の、いっそうのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成25 年度の施政方針とさせて頂きます。

平成25年3月4日
大口町長 森 進

 

 

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作成日 2013年3月7日