令和5年度施政方針

令和5年度施政方針

令和5年度施政方針

1.(はじめに)

 それでは、議長さんのお許しをいただきましたので、令和5年度当初予算の提案にあたり、町政運営の基本方針を申し上げます。

 一昨年11月より、大口町長として3期目に入り既に1年と4か月余りが過ぎ、この間には、議会の皆様方をはじめ、地域の皆様方には、様々な形でお力添えをいただいておりますこと、まずは、この場をお借りしまして、深く感謝申し上げます。

 町長として、現在3期目の中間時期に差し掛かろうとする任期の中でも、様々な経験と学びがありました。そのような中におきましても、私が企業人として培ってきた経営感覚の中で、その経験と知識を精一杯活用し、今日までこの大口町を、豊かなまちとして支え続けられたと、お力添えをいただいた皆様にも感謝申し上げます。

 令和5年度の当初予算につきましては、本日ここに、一般会計111億7,000万円、6特別会計39億3,770万8千円、1事業会計13億6,281万8千円、総額164億7,052万6千円の予算案を上程させていただく運びとなりました。

2.(令和5年度行政運営の基本方針)

 予算案の詳細につきましては、所管部長より説明をさせていただきますので、私は、行政運営の基本方針について申し述べさせていただきます。

 昭和37年に大口村が大口町となり、令和4年4月に本町は、町制施行60周年を無事迎えることができました。この60年間の町制の中でも、昭和56年度より40年以上、そして現在におきましても本町は、地方交付税の不交付団体として、いわゆる「豊かなまち大口」であり続けることができました。

 これもひとえに、貧しい村として周りの町にも受け入れてもらえず、あげくは、分裂して吸収されていくかもしれないという状況の中で、それを良しとして受け入れるのではなく、自分たちのふるさとであるこの町を、何とか一つの町として残していきたいという、強い想いの中で、先人達は、企業誘致という道を選び、努力し、身を削ってこの町を守ってこられたことによるものであると、つくづく感じているところであります。

 そうしたご苦労を経て、今町制60周年を迎え、さらに次の段階へ向けての一歩を、既に踏み出しているところであります。

 そのような状況のなか、今なお大きな被害をもたらしているコロナウイルス感染症に関する対応につきまして、政府は、5月以降その対応を変更する状況であります。我々としましては、これまで同様に、今後も感染状況をしっかりと注視しながら、住民の皆様と共に、新たな対策や対応にも迅速に取り組んでまいりたいと考えているところであります。町民の皆様にも一丸となって、このウイルスに立ち向かっていただきたいと、切に願うものであります。

3.(施策体系と概要)

 それでは、令和5年度における施策体系と、その概要についてご説明申し上げます。

 平成28年度よりスタートしております、第7次大口町総合計画につきましては、令和3年度にその中間見直しをいたしましたが、計画年度の残りも、いよいよあと3年となってまいりました。

 基本構想におけるまちの将来像や基本理念は、変わってはおりませんので、これまで同様に、この計画に沿った本町のまちづくりを、残り3年間、引き続き実施してまいりたいと考えているところです。

 まずは、これまで同様に、第7次総合計画におけるまちづくり戦略に沿って、令和5年度のそれぞれの事業の方針を申し述べさせて頂きます。

 はじめに「若い世代の定住・子育て支援」であります。

 本町の人口につきましては、今しばらく増加していくものと見込んでいます。これは、本町の移住・定住支援策や保育施設の充実、奨学金助成などの子育て環境の充実等の成果ではないかと考えているものであります。

 令和5年度におきましても、限りある財源の中で、特に、若い子育て世代の皆様への支援策を続けてまいりたいと考えているところです。

 また、子育て支援事業としての側面もありますが、現在、工事を進めております大口西小学校の校舎整備につきましては、引き続き令和5年度中の完了に向けて、整備工事を進めているところであります。これによりまして、中学校をはじめ、各小学校に つきましても一定の更新工事が完了し、子どもたちの学びの環境が整っていくものと考えております。

 さらに、子ども達が必要な医療を安心して受けられるよう、子ども医療費助成制度については、令和5年度から通院も18歳まで拡充し、医療保険の自己負担相当額を公費で負担し、子育てに対する医療費の面での負担軽減を図ります。

 次に「健やかな暮らしづくり」であります。

 コロナウイルス感染症に関する対応等につきましては、先にも述べさせていただきましたように、令和5年度の早々には、国におきましても、新たな対応のステージに移行していくものととらえております。繰り返しになりますが、住民の皆様と共に、新たな対策や対応にも迅速に取り組んでまいりたいと考えているところです。

 また、発症すると様々な合併症を引き起こしたり、重い後遺症が残ることもあります、帯状疱疹及び帯状疱疹後神経痛の発症を予防することを目的に、任意接種として位置づけられております帯状疱疹予防接種に係る費用の一部を、令和5年度より助成させていただきます。特に高齢者では、症状も治療も長引く可能性があるため、帯状疱疹の発症自体を予防することの重要性は高いと考えるところであります。

 まだまだ、高齢者の医療費につきましては、増加が見込まれているところではありますが、こうした高齢者となる手前での予防医療につきましても、目を配っていくことで、今しばらく増加が見込まれる高齢世代の方々の、生活の不安を少しでも取り除くことができればと考えているところであります。

 3つ目は「活力ある産業づくり」であります。

 先ほどにも申し上げましたように、これまで大口町は、豊かなまちとして認識されてまいりましたが、これも先人達のご努力により多くの企業が、ここ大口町に居を構え、ご努力いただいた賜物であると、深く感謝するものであります。

 しかしながら、法人町民税の税率の引き下げの影響は、やはり町税収入に大きな影を落としています。このことにつきましては、なんとも致し方なく、甘んじて受け入れることしかできません。しかし、だからと言って、何の手立ても打たずに、この町が貧していくというわけにはまいりません。私は、かつて先人達が行ってきたように、この土地を活かす。つまり企業誘致という手法を活用することで、豊かなまち大口を維持し続けることを目指し、努力をしてまいりました。

 南から順次進められてきました、国道41号の6車線化も、既に大口町を完了させ、次の扶桑町、犬山市へと続いています。これに併せて、接続する町内の道路整備も進めてまいりました。これにより、より一層優良な企業が、大口町への進出・移転を検討していただけていることと認識しております。

 さらには、令和5年度におきましては、長年にわたり、本町の地域経済・雇用の基盤を支えていただいております企業の流出防止、および雇用の維持拡大を図るため、愛知県と共同で、町内企業の再投資に対して約12億円あまりの補助金を交付することとしております。

 この補助金を活用し、町内企業の工場増設や研究所の新増設を促進し、企業活動のさらなる拡大に寄与することで、ひいては、今後の本町への税収の増加が期待できるものであると確信しております。

4.(おわりに)

 令和4年4月に、この大口町は、町制施行60周年という節目を迎えました。周年記念事業につきましては、コロナウイルス感染症の感染状況にもかんがみ、これまでのように盛大に実施することは控えてきました。それでも、この3月末には、60周年記念の式典と、周年記念事業の集大成となる記念イベントを実施することとしております。

 60周年の記念式典につきましては、今日現在、実施はしておりませんが、我々は、次の60年につながる一歩を既に踏み出しています。昨年のこの場で、私は、60年が、人間に例えるならば還暦であり、もう一度生まれ変わって出直すという意味あいがあると、お話をさせていただきました。そういった意味からすれば、既に我々は生まれ変わり、新たなまちづくりへの道筋に歩みを進めていることとなります。

 だからと言って、これまでと大きく何かを変えていくという事ではありません。これまでと同様に先人達が残してくれた伝統・文化・財産を大切にしながら、その活用を図っていかなければならないと新たな気持ちでまちづくりに取り組んでいく所存であります。

 中国の戦国時代の思想家である孟子の言葉に「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」というものがあります。「天地人」という言葉でご存じの方もあろうかと思いますが、天の時、つまり時の運に恵まれたチャンスであっても、それに勝るものは地の利であると、しかし、いくら地の利が良くても、最終的には民心の心がひとつになっていることが一番重要であるという事を言ったものであります。

 我々は、今まさに、この言葉のとおりの立場にあるのではないかと感じているところであります。我々が今置かれている状況は、様々な面で、まさに天の時であります。その天の時に勝る地の利、つまり、この大口町にとってのこの恵まれた土地を活用できること、これが天の時をしのぐ地の利であると実感できる時であります。

 しかし、そのような時であるからこそ、今我々が一番大切にしなければならないことは、まさに人の和であると、強く感じているところであります。

 この3年以上にわたるコロナ禍の中でも、チャンスを見逃すことなく、これまでのまちづくりを進めてまいりましたが、やはりそのような今だからこそ、原点に立ち返り、何を一番大切にしなければいけないのかを考える時であると実感しています。人の和がなければすべての有利は失われてしまうというこの言葉の教えを、今一度心に強くとどめ、我々は60年の歴史を大切にしながら、これからも一歩一歩着実に歩み続けていかなければならないと考えているところであります。

 今しばらくの間、日本全体の経済状況が劇的に好転するという事は、望み薄であると思われます。であるからこそ私は、この大口町が豊かな大口であり続けられるよう、住民の皆様のために働いていかねばならないと、決意を新たにしているところであります。

 まずは、ここにおそろいの町議会議員の皆様をはじめ、この町にかかわるすべての皆様方と心をひとつにし、さらなる皆様のご理解とお力添えを重ねてお願いいたしまして、令和5年度の施政方針とさせていただきます。


令和5年3月2日
大口町長 鈴木 雅博
更新日 2024年3月5日